ジャパンラグビー リーグワン ライジング20252025年9月27日(土) 草…

ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025
2025年9月27日(土) 草薙総合運動場球技場
静岡ブルーレヴズ 80-21 豊田自動織機シャトルズ愛知

リーグワンライジング プレーヤーエピソード[静岡BR]


静岡ブルーレヴズの伊藤峻祐選手

「高すぎる壁」への挑戦。正確に、地道に、ただひたすらに

昨季のディビジョン2首位の豊田自動織機シャトルズ愛知に、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)が80対21で大勝したジャパンラグビー リーグワン ライジング2025第1週で、ゲームキャプテンを任されたのが伊藤峻祐だ。

東海大学では主将を務め、2023年に静岡BRに加入したが、ここまでリーグワンでのキャップ数は3。昨季はチャールズ・ピウタウとヴィリアミ・タヒトゥアがセンターの軸となったこともあり出場がなく、非常に悔しいシーズンになった。

藤井監督も「昨季も良いプレーを続けていたのですが、いかんせん越えないといけない壁が高すぎるので」と伊藤を評価しつつ、「いつどこでけが人が出るかも分からないし、みんなが準備して全体で戦わないといけない」と付け加えた。

この試合での伊藤は、守備でハードワークを続けて見事なタックルでターンオーバーにつなげるシーンも作り、攻撃でも的確に立ち位置をとって流れを作った。さらに前半11分には、持ち味とする左足のキックで大きくゲインして細矢聖樹のトライにつなげ、同30分には素早いサポートからラストパスを受けて自らトライを挙げた。

80分間フル出場してチームをけん引し、申し分ないアピールを見せたが、本人はその感触を次のように振り返る。

「基本的なスキルをどれだけ速く正確に出すかということを意識していましたが、ラスト10分で少し乱れてきてしまったので、そこが課題かなと。良いところもあれば、反省して次につなげたいところもあったので、とても学びのある試合になりました」

それでも、悔しい想いをしながらも立ち止まることなく着実に積み上げてきた昨季の成果が、しっかりと表われていたことは間違いない。

「試合に出られなくても、いつチャンスが来てもいいようにずっと準備をしてきましたし、センターにはカテゴリCの選手が多い中で、彼らの真似をしても体のサイズの違いもあって難しいと思うので、自分にできること、日本人センターらしいところを磨いてきました。(具体的には)泥臭いプレーをやり続けること、守備ではキックチェイスや、アタックでは周りのコントロールやゲームメークの部分はすごく意識してやってきました」

また体作りの面でも、長谷川慎アシスタントコーチの指導の下、外国籍選手の壁を越えようとバックス(伊藤、奥村翔、槇瑛⼈、岡﨑颯⾺、杉本海斗ら)が特別メニューで鍛錬を続けている。

「首や背中、腹筋といった体の軸になる部分を中心に鍛えて、軸を強くすることを目指しています」という中で、伊藤の首の太さや体の厚みは見るからに増している。

「昨季もオフでも少しずつ積み重ねてきて、自分でも動きは悪くないという感触がありますし、周りからもポジティブな言葉をもらっているので、ここからどれだけ自分の強みを出していけるかが勝負になると思います。本当に開幕(戦出場)を狙っているので、どれだけ長い時間、正確にハードに続けられるか、地道に自分のプレーをひたすらやっていきたいです」

彼のような選手たちが力をつけて静岡BRの総合力を高めることによって、悲願であるリーグワン初優勝に近づくこともできる。それをよく理解している選手がプレーで大いにアピールしていることも、リーグワンライジングならではの大きな収穫と言えるだろう。

(前島芳雄)