江戸時代の大名はどんな武芸をしたか。特別展「大名とスポーツ 武芸と遊興の祭典」が、滋賀県彦根市の彦根城博物館で開かれて…
江戸時代の大名はどんな武芸をしたか。特別展「大名とスポーツ 武芸と遊興の祭典」が、滋賀県彦根市の彦根城博物館で開かれている。今のスポーツに通じる伝統を振り返る。
国民スポーツ大会、全国障害者スポーツ大会の滋賀開催を記念した。
博物館によると、弓や馬、剣などを使う武芸は武士に必須の教養だった。一方で江戸時代は戦(いくさ)がなくなり、記録や勝敗を競うスポーツ的な要素が強くなっていく。彦根藩井伊家や他の大名家の品、計85件を紹介する。
井伊家には馬具や弓具など多くの道具が伝わる。重籐弓(しげどうのゆみ)は長さ約212センチ。井伊家7代直惟(なおのぶ)が享保10(1725)年、後の9代将軍徳川家重の元服の加冠役を務める際に作った。竹と木を用い、籐の巻き方も美しさを重視した趣向だ。
井伊家13代直弼(なおすけ)が用いた居合刀。幕末期の制作と考えられる。彦根藩は早くから、新心流の居合術を取り入れ、直弼は21歳で「神心流」を新たに開き、著作も残した。
8代将軍徳川吉宗の弓術道具も。弓籠手(ゆごて)は射る際に衣の袖が弦に当たるのを防ぐため、肩から左手にかけて覆う。弓掛(ゆがけ)は弦を引く右手を守る革手袋。吉宗は太平の世で緩んだ武家の士気を引き締めるため、武芸を奨励。鷹狩(たかがり)、やぶさめを復興した。
また、蹴鞠(けまり)の道具や相撲人形、化粧まわし、現代のポロに似た打毬(だきゅう)の道具なども見られる。今中啓太学芸員は「江戸時代に奨励した武芸、伝統的なスポーツ文化に触れることで、アスリートにも発見があるのでは」と話す。
11月3日まで。観覧料700円、小中学生半額。一部の展示は期間中に入れ替える。詳しくは彦根城博物館(0749・22・6100)。(小西良昭)