松山の記録達成に期待が高まる(C)産経新聞社 クローザー1年目で歴史に名を残した。 中日の守護神・松山晋也は、9月28日…

松山の記録達成に期待が高まる(C)産経新聞社

 クローザー1年目で歴史に名を残した。

 中日の守護神・松山晋也は、9月28日の阪神戦(甲子園)でシーズン46個目のセーブを記録。2005年の岩瀬仁紀(中日)、07年の藤川球児(阪神・現監督)のリーグ記録に並んだ。

【動画】松山晋也が46セーブ目に雄叫び! 阪神・佐藤輝明を155キロの豪速球で三振に打ち取ったシーン

 プロ入り3年目の松山は今季から抑え役を任されており、いきなりの大台到達である。

 ダイナミックな投球フォームから繰り出す、常時150キロ台中盤の速球と切れ味鋭いフォークの2球種で打者を制圧——。これが松山のスタイルで、プロ入り当初から変わらない。どんな相手にも怯まず、立ち向かっていく。

 28日の試合もそうだった。味方がビハインドを跳ね返し、逆転した直後のマウンド。先頭の近本光司を三振に抑え、中野拓夢に安打を打たれてから、背番号90はギアをもう一つ上げた。

 この日3安打を打っていた森下翔太をセンターフライに打ち取り、最後は本塁打・打点の二冠を走る佐藤輝明を空振り三振。低めの出し入れで並行カウントを作り、決め球は高めの155キロだった。投げた後、センター方面を向いての雄叫びや、ほとばしる気迫から来る「ガンギマリ」ぶりは、ファンにとってはおなじみだ。

 冒頭に触れたセーブ記録について、約1か月離脱した上の数字であることに驚きを隠せない。

 7月3日までに28セーブを挙げていたが、上肢のコンディション不良で離脱。ファン投票で選出のオールスターを辞退した(※辞退理由の負傷は「右尺骨肘頭疲労骨折」)。そこから8月9日に1軍復帰し、ここまで53試合に登板。46セーブ、5ホールドをマークし、救援失敗はただの1度だけ。防御率1.54、奪三振率12.30の成績も言うことなしだ。

 もし離脱がなかったら、デニス・サファテ(ソフトバンク)の54セーブを超えていたか? それは分からないが、身体が決して万全でない中でも最大限のパフォーマンスを見せられているのだから、今の状況がパーフェクトに近いと考えたい。

 シーズンは残り2試合。奇しくもタイトルを争うライデル・マルティネスを擁する巨人との連戦だ(9月30日、10月1日)。現在、松山が46セーブ、R・マルティネスが45セーブと松山が1個リードしている。昨季まで同じチームで勝利のバトンを繋いでいた二人が、敵味方となって争う構図は非常にエモーショナルで、当人同士も意識し合うことだろう。

 松山が初のセーブ王獲得、そしてリーグ新記録を樹立できるのか。最後の最後まで目が離せない。

[文:尾張はじめ]

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