約200の国・地域から2千人ほどの選手が東京・国立競技場に集まった陸上の世界選手権(世界陸上)は、日本の魅力を国内外に…
約200の国・地域から2千人ほどの選手が東京・国立競技場に集まった陸上の世界選手権(世界陸上)は、日本の魅力を国内外に紹介する「ショーケース」(見本市)の役割も果たした。大会期間中、大手スポーツ用品メーカーなどがそれぞれの交流拠点を設けて認知度向上を図る中、スポーツに力を入れる地方大学も会場周辺に拠点を構え、学校の特色を売り込んだ。
「うちには傾斜5%の200メートル直線トラックがあります。世界にここしかない環境で、効果的にトレーニングを積めます」
ドローンで撮影した映像を見せながら熱弁したのは、岡山市にある環太平洋大学陸上部の梶谷亮輔コーチだ。部員約380人の大所帯で、今年の日本学生対校選手権で男子が総合7位に入るなど近年成績を伸ばしている。背景には、施設の充実があるという。
売りは学内のスポーツ科学センターだ。手軽に動作分析ができる実験用走路、酸素濃度を調整できる環境制御室などを完備。選手の状態を可視化し、すぐにフィードバックできる環境が整っている。
環太平洋大は12~16日、国立競技場そばのビルの一室を借りて関係者を招き、特長をPRした。
ニュージーランドにも大学を構える環太平洋大の運動部には留学生が多い。男子400メートル障害でスリランカ選手権を制した経験を持つダヌカ・ダルシャナは2023年に来日。日本で記録が3秒ほど縮まったという。「200メートルの坂のトラックが大好き。足が速くなった。若い外国人選手に岡山に来てほしい」と日本語で話した。来年のアジア大会出場をめざしており、世界陸上の雰囲気を感じられたことはプラスになったという。
近くには複数の競技団体の事務所が入るビルがあり、多くのスポーツ関係者が拠点を訪れていた。環太平洋大は宿泊施設も充実していて他競技の合宿でも利用可能。アジア大会を見据え、合宿地として興味を持つ団体幹部もいた。
今回の試みについて、梶谷コーチは「うちは西日本出身の学生が多い。多くの陸上関係者が集まる機会に、東日本の皆さんにも認知してもらうきっかけになったのでは」と話した。(野村周平)