故郷の歴史を背負っている。「相撲どころ」とされる青森県出身の十両3枚目の錦富士が荒篤山を押し出して下し、9勝目。「まだ…
故郷の歴史を背負っている。「相撲どころ」とされる青森県出身の十両3枚目の錦富士が荒篤山を押し出して下し、9勝目。「まだまだ油断できない」と、表情を引き締める。
青森県出身の幕内力士は、1883(明治16)年から142年間途切れたことがない。2位の茨城県の43年間に大差をつける数字だ。
初代若乃花や旭富士ら横綱が6人輩出。近年は苦しみながら、ベテランで十両の宝富士や昨年末に引退した阿武咲が幕内の下位で奮闘してきた。
初場所では3人が幕内にいたが、今は尊富士のみ。ただ、優勝経験のあるそのホープがけがで初日から休場し、十両転落が確実となった。頼みの綱は、夏場所以降は十両に甘んじる錦富士が再入幕することだ。
十和田市出身の29歳、錦富士は明かす。「(記録をつなぐのが26歳の)尊富士って言われるのもくやしかった。場所前から『これでだめなら仕方ない』というぐらいやってきた」
「記録だからいつか終わりが来るかもしれないけど、少なくとも、自分たちが現役のときは途切れさせたくない。それは僕だけじゃなくて(青森出身の)みんなが思っている」
5日目までに2敗を喫したが、そこから意地の6連勝。残り4日、再入幕も見えてきた。「験担ぎ」でそっていないというひげが伸び続けている。(大宮 慎次朗)