ポジション争いの中で繰り広げられた“バトル”に異論を唱えたコスター(C)Getty Images まさしく身体を張った激…

ポジション争いの中で繰り広げられた“バトル”に異論を唱えたコスター(C)Getty Images

 まさしく身体を張った激走が実らない低迷だっただけに、“同情”の声も広がった。

 9月21日に閉幕した世界陸上の東京大会では、競技中のアクシデントも少なくなかった。その中で同20日に行われた女子5000メートル決勝で、「本当に腹が立つ」と憤怒したのが、14位に終わったモーリーン・コスター(オランダ)だった。

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 18日に行われていた予選を1組4位で通過したコスターは、メダル獲得を期待された決勝でも上位陣に食らいつく好走を披露。しかし、正念場となった残り2周で、ライバル選手に妨害されて転倒しかけた上に、最終盤に別の選手とも接触。結局、そこでのタイムロスが影響し、メダル圏内からは大きく後退する形となった。

 レース後にオランダの公共放送『NOS』のフラッシュインタビューで「2回目のエチオピアの選手から受けた妨害は、間違いなく“超非常識”だったわ!」とまくし立てたコスターは、「本当はこんな風にカメラの前で泣きたくはない。でも、本当に腹が立つ」と涙ながらに吐露。「いま、これでも必死に自分を抑えてるの。言いすぎると面倒なことになるから。とにかくすごくムカついてる。本当にトップ6、いやトップ5に入れたと思うからよ。何が起きたのか正確には分からないけど、とにかく誰かに妨害されて、もう競争には戻れなかった」とやり切れない負の感情を爆発させた。

 涙を浮かべて怒りを爆発させたコスター。そんな失意の33歳を同情する声は、母国内で広まった。オランダのニュースサイト『Sport Nieuws』のポッドキャスト番組でホストを務める女子フィールドホッケーの代表選手であるナオミ・ファン・アスは「5000メートル走は難しい。選手たちがあれだけ接近するんだから」と前置きして上で「でも、たしかに彼女は別の選手と2回も接触している」と慮った。

 一方でコスターのメンタル面に課題があったとする声もある。ファン・アスが「でも、私が疑問に思うのは、あの妨害で、まったくスピードを出せなくなるほどなのかってこと。あれだけ集団で走れば色々なことが起こるはず」と指摘すると、同じく女子フィールドホッケー代表戦士で、共演者のキム・ラマースは「完走したことは本当に素晴らしい」と称賛しつつ、シビアな考えを突き付けている。

「彼女の失望はよくわかる。あれだけの舞台で、ああいうことがあって、上手くいかないと怒りと悲しみが湧いてくる。でも、ここから経験を積まないといけない。それはシファン・ハッサンを見ればわかる。一度躓きながらも、立ち上がって優勝までした。だから、(コスターにも)可能性はあった」

 果たして、母国の名アスリートたちの金言は、コスターの耳にどう響くか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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