ホーナーはどんな形でサーキットに戻ってくるのか(C)Getty Images 去る9月21日に行われたアゼルバイジャンG…

ホーナーはどんな形でサーキットに戻ってくるのか(C)Getty Images
去る9月21日に行われたアゼルバイジャンGPの決勝で、レッドブルの角田裕毅は、自身の今季最高位となる6位でフィニッシュ。5位に入ったリアム・ローソン(レーシングブルズ)の後塵を拝したが、それでもドライバーズランキングで上位に君臨するオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ランド・ノリス(マクラーレン)を抑える貢献を果たした。
チームから求められる“結果”に加え、内容でもレッドブルに小さくない献身を見せた角田。これで直近3戦で2度目のポイント獲得とあって、“じゃじゃ馬”と揶揄されるマシン『RB21』に翻弄され、にっちもさっちもいかなかったサマーブレイク前の状態からは一変しつつある。
まさに劇的な変貌を遂げた。その舞台裏では本人が決断した夏休みを返上しての“特訓”があった。英モータースポーツ専門メディア『The Race』は「レッドブルでの回復の始まりとなったツノダのキャンセルされた休暇」と銘打った記事を掲載。角田自らが指揮官に直訴する異例の夏休み返上による極秘トレーニングが行われた事実を伝えた。
「8月に行われたハンガリーGPのあと、他のドライバーたちが休暇モードに入る一方で、ツノダだけはハンガロリンクでのチームパフォーマンスを『ひどい週末(角田17位、マックス・フェルスタッペン9位)』と考え、『このまま休むべきではない』と感じていた。そして彼は、その夜にローラン・メキース代表に対し、日本に帰る飛行機をキャンセルすると伝えた」
今季で契約が満了となる角田は、チーム残留に向けて結果と走りの質が求められる厳しい立場にある。ゆえにパフォーマンスが安定しない状況にかつてないほどの危機感を抱いていたのかもしれない。『The Race』は「ツノダは複雑だったRB21を改良し、マシンのハンドリングのクセを克服する唯一の方法は、『ひたすら努力を続けることだ』と確信した」とも伝え、本人の変化を記している。
「イタリアGP後のセッションで、ツノダはマシンの感覚を変えるのに何かが解き放たれたようだった。そしてバクーでの練習走行で初めて実戦での変化を体感した彼は、『こんなペースは初めてだった。すべてがより理解しやすくなった』と語った」
試行錯誤を繰り返しながら、マシンと己の理解を深めた。そうした飽くなき角田の姿勢は、チーム幹部の胸を打っている。「彼の労働倫理に疑問が呈されたことは一度もない」と記した『The Race』は、レーシングブルズ時代から師弟関係を築いていたメキース代表のコメントを伝えている。
「ユウキはこっちの話も聞いてくれているし、それは良いことだと思う。本当に嬉しいんだ。今の彼はとても一生懸命に頑張っている。ブダペストでの厳しい戦いを終えてからも、休暇を取る代わりにシミュレーターに直行した。レースに出ていない週末は、エンジニアたちと練習をしていたり、ドライビングの戦略を練っていたりしている。彼が進歩を見せてくれているんだ」
そんな恩師から「(去就を決めるのに)まだ時間はある。アブダビ(F1最終戦)まで待つつもりはないが、決断するまでにあと数レースは確実にある」と指摘される角田は、「なぜあんなにも遅いのかの原因を突き止めたくて、何度もシミュレーションセッションを試した。そこで原因が見つかって、とてもうまく機能しているように感じた」と告白している。
休暇を犠牲にして、己を見つめ直し、自信はかつてないほどに深まっている。だからこそ、角田のここからの躍進には期待しかない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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