東京大会で“史上最多”のメダルを獲得したオランダ。そんなチームを支えた名コーチが不満を爆発させた(C)Getty Ima…

東京大会で“史上最多”のメダルを獲得したオランダ。そんなチームを支えた名コーチが不満を爆発させた(C)Getty Images
熱狂する表舞台の裏で、一部の選手たちが抱えていた“不満”が明らかになった。
証言したのは、9月13日から9日間に渡って国立競技場で開催された世界陸上の東京大会に、オランダ代表のヘッドコーチとして参加したローラン・ミューリー氏だ。
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かくいうオランダは今大会で小さくない成功を収めたチームの一つだった。2つの金メダルを含む計6個のメダルを手にし、世界陸上においては同国史上最多の声価を挙げた。ゆえに母国内でも遠い島国で開催された大会の行方はポジティブに報じられていた。
しかし、ミューリー氏は大会運営に不満を募らせていた。大会後にオランダの日刊紙『Telegraaf』の取材に応じた敏腕コーチは、「私はこの仕事を35年間も続けてきたが、今回の選手権はこれまで参加した国際大会の中で最悪のものだった」と糾弾したのだ。
とりわけ強く非難したのは、大会前から懸念されていたサブトラックと会場の移動だった。
神宮外苑の再開発計画も影響し、国立競技場付近に隣接する形でサブトラックを設置できなかった今大会は、会場から約3キロも離れた代々木公園陸上競技場に設定。それによって選手やチーム関係者は専用のバスを利用した約15分の移動を余儀なくされ、練習も移動を逆算して行う必要があった。
本番直前の最終調整を行うサブトラックは、心身ともに極限状態にある選手たちにとって「第二の戦場」とも言われる重要な拠点。結果を左右する場とも言っていい。それだけにミューリー氏は「非常に危険ですらあった」と語気を強める。
「試合に向けた準備で選手たちに求められたことはとんでもなく異常なことだった。ウォーミングアップからスタジアムのコールルームに呼ばれるまで30分もかかっていた。しかも、移動はバスでしなければならないんだ。競技を終えた後のリカバリーを考えても、あれはとても危険だ。選手たちが適切な保護を受けられているとは思えなかった」
さらにミューリー氏は参加する2000人の選手とサポートスタッフが宿泊する大型施設についても「最初の5、6日間はホテルが過密で、非常に騒々しかった。そんな状況で選手たちが平静を保ち、ストレスを感じないようにするのは至難の業だった」と指摘。グラウンド外でのホスピタリティの欠如に異論を唱えた。
9日間で観客数が50万人を突破する大盛況となった今回の世界陸上。表向きには大成功の印象が強い34年ぶりの東京開催だったが、今後の国際イベント招致に向けた小さくない課題も残る形となった。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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