必至の走りで5位に食い込んだ角田(C)Getty Images 荒れ模様のバクー市街地コースで繰り広げられた攻防は見応え…

必至の走りで5位に食い込んだ角田(C)Getty Images

 荒れ模様のバクー市街地コースで繰り広げられた攻防は見応え十分だった。

「最後の10〜15周はとても激しい戦いで、本当にやりがいのあるレースだった」

【動画】ローソンは無謀だった? 角田との接触シーンを見る

 そう振り返ったのは、現地時間9月21日に行われたF1第17戦アゼルバイジャンGPの決勝で5位入賞を果たしたリアム・ローソン(レーシングブルズ)だ。

 計6度の赤旗が出るなどアクシデントが噴出した前日の予選で3番手となったローソンは、勝負の決勝では2つ順位を落としたものの、並み居る強敵たちとのし烈なポジション争いを展開。きっちりとポイントを掴んだ。

 表彰台も見据えていた23歳だったが、自身の走りには手応えがあった。とりわけ興味深かったのは、同じレッドブル系列に属する角田裕毅とのポジション争いだ。

 38週を終えたタイミングでハードタイヤからミディアムタイヤに交換した角田を捉え、ピットアウトした直後にDRSでかわしたローソンは、「アタックしてインサイドから追い抜くチャンスは何回かあった」という日本人ドライバーに肉薄されるも、巧みなブロックでオーバーテイクは許さなかった。

 もっとも、この時に角田は後方から迫っていた7番手のランド・ノリス(マクラーレン)への警戒も強めていた。というのも、ドライバーズランキングで3位に属しているエースのマックス・フェルスタッペンに総合優勝の望みを繋ぐため、44ポイント差で同2位につけるマクラーレンの名手を上位に進ませるわけにはいかなったからだ。

 ゆえに角田は「僕ら2人(ローソンと角田)をオーバーテイクしていくリスクの方がとても大きかった。チームとしてはそういう状況(ノリスのポイント増加)は避けなきゃいけない」とローソンを追い抜いての順位上げを諦め、ノリスのブロックを優先した。

 角田の下した決断はローソンに“違和感”を感じさせていた。レース後に英メディア『PlanetF1』でニュージーランド人ドライバーは、「正直に言って、僕はツノダがもっと早く追いつくだろうと覚悟していた」と打ち明けている。

「ツノダだけじゃなくて今日のマックスを見ても、明らかに彼らはチームとして素晴らしいレースをした。マシンの状態も良さそうだった。だから、後ろにいたツノダが良い状態のミディアムタイヤで出てきたのを見た時には、これはあっという間に追いついてくるだろうと予想した。けど、今週末のセクター3は非常に強力だったと思う。あれは必要な位置だった」

 来シーズンのレッドブルグループ内でのシートも争う角田を振り切ったローソン。「エネルギーが尽きてイライラした。僕としては表彰台でフィニッシュしたいと思っていたが、(マシンに)それだけのスピードはなかったと思う」と告白する若武者にとって精いっぱいの5位だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【関連記事】“意図的”だった6位入賞 角田裕毅はなぜ5位ローソンを抜かなかったのか 激走の裏にあった王者への献身「大きな違いになるぞ」

【関連記事】角田裕毅はなぜ表彰台も見える好位置に? 残留にも望みを繋いだ25歳の“変化”「マシンに加えた変更が間違いなく役立ってる」

【関連記事】角田裕毅のレッドブル更迭は「公然の秘密」 独誌の去就報道を本人は意に介さず「事実ではない。噂を楽しませてやればいい」