<令和7年度秋季愛知県大会:中部大春日丘9―8享栄>◇22日◇準々決勝◇刈谷球場 前日の3回戦では、夏の愛知大会優勝校で…

<令和7年度秋季愛知県大会:中部大春日丘9―8享栄>◇22日◇準々決勝◇刈谷球場

 前日の3回戦では、夏の愛知大会優勝校で甲子園出場を果たした豊橋中央を下した享栄。この夏も、豊川との質の高い試合を制してベスト8進出を果たしたが、東邦に敗れている。近年、非常にレベルの高いチームを作り上げながらも、なかなか最後まで勝ち上がり切れない。この秋は、名古屋地区予選二次トーナメントでは初戦で中京大中京に敗れた。それだけに、ここからが正念場と言ってもいいであろう。

 同様に中部大春日丘も、名古屋地区の厳しい戦いを経て、県大会でも有力校を下すなど、ベスト8~4にもしばし進出している。この秋の名古屋地区二次トーナメントでは東邦、大同大大同、中京大中京を下して決勝進出している。県大会では、シード校として登場し、2回戦では愛知啓成、前日の3回戦では西三河の暴れん坊・安城を下しての進出である。過去、春季大会では優勝の実績もあるが、甲子園出場は果たしていない。手が届きそうでもう一つ手が届かない甲子園出場。ことのほかその壁の厚さを痛感している。

 序盤は1回、2回に享栄が4番坂本 亮太選手(2年)、1番・永谷 陽翔選手(2年)の長打で3対0とリードする。中部大春日丘の速いストレートに対して、享栄打線はバチンとはじき返していった。

 中部大春日丘の齊藤 真監督は、「速い球よりも、少し遅くてもいいから丁寧にコーナーを突きながら交わしていく方がいいだろう」ということで、早いタイミングの3回途中から先発・横田 鉄伸投手(2年)を外野に下げて角田 暁投手(2年)を投入した。その角田投手が、上手に享栄打線を交わしていくうちに中部大春日丘は3回、4回、連続して9番野呂 泰牙選手のタイムリーなどで逆転。享栄としては、いずれも失策が得点に絡んだということも後にも影響することになってしまった。

 後半に入って1点を追いかける享栄は7回、4番坂本選手の二塁打や続く5番大森 皓太選手(2年)の中前タイムリー打で逆転した。これで、試合の流れとしても享栄に傾いていくとも思われた。

 しかし、「今年のチームの特徴は、より泥臭く戦っていくことです」と、齊藤監督の言うように、8回、9回と死球も絡めて、中部大春日丘はいずれも相手のわずかなスキを突くような形で同点に追いついた。9回は、二死満塁ながら、あと一人という場面で5番に入っていて、8回から再登板していた横田投手がしぶとく左前へはじき返しての同点だった。

 これでタイブレークにもつれ込んだのだが、享栄は5番から、中部大春日丘は7番からの攻撃という形になった。

 明暗を分けたのはバント処理だった。享栄はバントをうまく転がし、一死二、三塁となったところで、途中出場していたモリス 蓮選手(1年)が右前出して2者を還した。

 このリードを守り切りたいとろ。6回から先発の多賀 衛太投手(2年)をリリーフした坂本投手(2年)となっていた。しかし、7番岡田 航河選手(2年)のバントを慌てて一塁へ悪送球。中部大春日丘は労せずして1点差として、なおも無死二、三塁。8回に代打で出て、そのまま外野の守りにも入っていた日比 啓翔選手(2年)が中犠飛を放ち同点。なおも一死三塁というところで、代打迫頭 東吾選手(2年)が中越打を放って、これが逆転サヨナラの一打となった。

 齊藤監督は、「不思議な力が発揮されましたね。生徒が逆転されても、よく耐えて、本当に泥臭くやっていってくれました。力はないけれども、力以上のものを出してくれたと思います。ウチのレベルでエラーはするなと言うとガチガチになってしまいますから、それは言いません。勝ったら、お前たちの力。負けたらオレの責任、ということは言っていました」と言っていたが、まさに不思議な力を発揮した泥臭い野球は、中部大春日丘らしさを十分に示したしぶとい勝利だった。

 享栄の大藤 敏行監督は、「タイブレークの10回のバント処理の巧拙が大きかった。それだけではなく、大事なところでちょっとしたミスが失点につながっていって、それが結果的にこういう形になってしまったということですかね。自分の采配を含めて、反省だらけです。投手周りの打球処理の大事さなど、改めてしっかりやっていかんとダメだということを思い知らされた」と、消沈の思いだったが、チームの再生へ向けていく姿勢を示していた。