【MLB】ドジャース 6ー3 ジャイアンツ(9月19日・日本時間20日/ロサンゼルス)【映像】敵将ブチギレも枠内だった“…
【MLB】ドジャース 6ー3 ジャイアンツ(9月19日・日本時間20日/ロサンゼルス)
その魔球は、打者を惑わすボールだった。ドジャースで本拠最終登板を迎えた"レジェンド"カーショーが持ち味の精密にコントロールされたスライダーを投じると、この1球に相手がイラ立ちを示していた。
日本時間20日、大谷翔平投手が「1番・DH」で出場したジャイアンツ戦は、ドジャース一筋18年、通算222勝を挙げた左腕が今季限りでの現役引退を発表した翌日の一戦だった。37歳の"ラストゲーム"を見届けるために本拠地ドジャー・スタジアムに満員の観客が詰めかける中、偉大な投手は衰えない投球術を披露した。
3回表、1死一塁でケーシー・シュミットと対峙した際の投球は、まさに円熟味を帯びていた。初球、土に着くスライダーに始まり、ストレート、カーブ、ストレートとコース、球種ともに多彩に投げ分け、カウント3ー1から投じた5球目が、この男の真骨頂だった。84.8マイル(約136.4キロ)のスライダーは、右打者の外角からグインと中央低めに曲がり、低めいっぱいのコースでキャッチャーミットに収まった。
シュミットはボールを確信して一塁へと歩き始める中、審判は迷うことなくストライクをコール。打者はため息を着くようにして立ち止まってボックスへと戻ったが、ベンチではジャイアンツのボブ・メルビン監督も不服そうな表情とジェスチャーでこの1球に対して苛立ちを表現していた。
しかし、MLB公式データサイト『Baseball savant』によると、このボールは間違いなくストライクゾーンに収まっており、30インチ(約76.2センチ)の落差と横への変化で、打者を翻弄するボールとなった。
この投球こそ、ベテランが積み重ねてきた老獪な投球術だろう。精密にコントロールされた抜群の制球力と配球は衰えを感じさせることなく、この日は打者21人と対戦して、6つの三振を奪ってみせた。そのうち、1回と4回にウィリー・アダメズから奪った2つと、3回にラファエル・ディバースから奪った1つの3つがスライダーであり、1回のウィルマー・フローレス、2回のパトリック・ベイリーから奪った三振が伝家の宝刀"クーパーズタウンカーブ"によるものだった。ジャイアンツの強打者を翻弄するボールは、彼を象徴するものだった。
カーショーは5回途中までを投げ、詰めかけた全てのファン、奥さんと子どもたち、そしてチームメイトから大きな拍手を贈られながら降板したが、試合を見守ったファンもSNSなどで「寂しくなる」「まだ現役でやれる」と惜しみつつ、「最後の最後まで、魔球は健在だった」と、オズナの称賛の声が寄せられていた。(ABEMA『SPORTSチャンネル』