(世界陸上東京大会、20日) 陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会の男子円盤投げに20日、聴覚に障害のあるデフ選手、湯…
(世界陸上東京大会、20日)
陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会の男子円盤投げに20日、聴覚に障害のあるデフ選手、湯上剛輝(まさてる)(32)=トヨタ自動車=が出場を果たした。日本デフ陸上競技協会によると、日本のデフ選手が健常者の世界選手権に出場するのは初めてという。
午前中の予選、最後の3投目の直前。観客席に手拍子を求め、「応援を肌で感じた」。56メートル40の全体37位で敗退したが、「夢のような時間だった」と笑顔をみせた。
滋賀県出身。先天性の難聴で左耳に人工内耳をつけている。高校生の時に円盤投げと出会った。中京大を経て、社会人3年目の2018年、日本選手権で初優勝した。今年4月、64メートル48で日本記録を更新した。
競技の時は人工内耳を外す。遠心力で外れることを防ぎ、自分の世界に集中するためだ。音がほとんどない中での競技になるが、この日は観客席から手話の応援も受け、後押しを感じられた。投げる際のターンのリズムは、音ではなく足が地面に着いた時の衝撃でつかんでいるという。
健常者の大会に出ることで、伝えたいことがある。「聴覚障害があっても活躍できるよ、大丈夫だよということを示せたら」。障害への理解が広がるようにと、ブログで自身の障害や聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」についての発信も続けてきた。
11月に東京などで開かれるデフリンピックにも出場する。「僕の姿がデフアスリートのみんなの刺激になったらうれしい。日本チーム一丸になって過去最多のメダルを取りたい」(藤野隆晃)