(世界陸上東京大会、19日) 「僕はニコ、そして僕はゲイなんだ」 男子5000メートル米国代表のニコ・ヤング(23)は…

 (世界陸上東京大会、19日)

 「僕はニコ、そして僕はゲイなんだ」

 男子5000メートル米国代表のニコ・ヤング(23)は3年前、自身のインスタグラムにこう投稿し、性的指向を公にした。

 幼い時から、女の子ではなく男の子が好きなことに気づいていた。拒絶されることを恐れてゲイであることは明らかにしていなかったが、考えを変えた。

 「自分で自分のことを受け入れたかったし、公にすることで(似た境遇の)多くの人を助けられるのでは」と思ったから。

 周囲は好意的に受け止めてくれた。特にランナー仲間たちは温かい。

 一方、最近は性的少数者の権利を制限しようとする風潮もある。トランプ米大統領はDEI(多様性・公平性・包摂性)に反発している。

 ヤングは「どんな時であっても、どんな差別であっても良いものではない」と言う。大切にするのは、周囲の声に左右されず自分らしくあること。「ストレート(異性愛者)でもゲイでも、どんな性的指向でもあてはまることだと思う」

 その考え方は、競技にも好影響を及ぼしている。余計な重圧を感じることがなくなったのだ。「自分の競技人生を証明するために結果が必要だ、という考え方から自由になった」

 19日、男子5000メートル予選に出場し、1組4着で21日の決勝進出を決めた。上位入りも期待できる。

 本人に気負いはない。「その日が素晴らしい日になればレースに勝てると思う」。あくまで、ありのままの自分で。生き方そのままの走りをするつもりだ。

 冒頭のインスタグラムへの投稿は、こう締めくくられている。

 「僕の名前はニコ・ヤング。僕はゲイであることを誇りに思っている!」(藤野隆晃)