(19日、陸上世界選手権東京大会) 女子やり投げの北口榛花の最後の3投目は60メートルに届かなかった。この日最高の2投…

 (19日、陸上世界選手権東京大会)

 女子やり投げの北口榛花の最後の3投目は60メートルに届かなかった。この日最高の2投目の60メートル38は、自己ベストに7メートル及ばない。「走りと技術がかみ合わなかった。悔しい結果になってしまった」と涙を浮かべた。

 前回大会で初優勝して以降、日本陸上界の顔になったが、万全な状態とは言えなかった。

 今年6月に右ひじの炎症が判明し、7月の日本選手権は棄権した。8月に復帰したものの、「自分のやりがどれくらい前に飛んで行くかが想像できないまま練習していた」と実戦の感覚が戻っていなかった。

 「私の場合は、出るからにはそれなりの記録を投げなければいけない試合が続く」。世界王者になってからは周囲の期待に応えなければいけない、と感じている。

 炎症の再発について「怖さはある」と語っていた。「精神的にも苦しい部分がたくさんあったけど、そのたびに東京の世界陸上があるから練習に戻ろうという気持ちになれた」。国立の大観衆の前で、3度の投てきをやりきったことに大きな意味があった。(室田賢)