陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会が開催されている国立競技場では連日、子どもを対象とした無料招待イベントが実施されて…

 陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会が開催されている国立競技場では連日、子どもを対象とした無料招待イベントが実施されている。

 競技が夜の部しか組まれていない17日昼過ぎ、国立競技場では小学生たちがうれしそうに、トラックの上を駆けていた。

 東京都が主催した陸上教室。マラソンの距離にかけた「42.195m走」。世界陸上仕様のタイマークロックに自分のタイムが出ると、喜んだり悔しがったり。2021年東京五輪で男子400メートル障害に出場した安部孝駿さんらが、走り方を教えた。

 教室は16日から4日間行われ、都内の小学4年生から6年生の約3千人が参加。プログラム終盤には、スタジアムに来られなかった障害のある子たちの競走も実施。福祉・医療施設から分身ロボット「オリヒメ」を遠隔操作して10メートル走らせ、画面越しに雰囲気を体験してもらった。

 参加した大田区立中萩中小学校5年の山田結菜さんは「トラックを実際に走り、貴重な体験をさせてもらった。腕を振ることとか教わったことを運動会にいかしていきたい」と目を輝かせた。

 東京世界陸上は「子どもに夢を届ける大会」というテーマも掲げている。都は開催前から、小学生を無料招待し国立競技場を走ってもらう企画を行ってきた。大会を機にスポーツのおもしろさを体験し、運動に参加したり、成長につなげたりしてほしい狙いがある。

 いずれも新型コロナウイルスの感染拡大で、21年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックでは実現が難しかったレガシー(継承)だった。

 被災地の子どもたちを招待する観戦プログラムも行っている。岩手県からは小学6年が25人、石川県からは小学5年から中学3年までの28人、福島県からは高校1年から3年の30人が観戦した。福島県いわき市在住の二瓶真那さん(16)は、「選手たちの力強い走りにとてもパワーをもらえた」と喜んでいた。

 都だけではない。世界陸上のスポンサーでもあるセイコーは、20日に全国から募集した陸上教室を開く。陸上部などに所属する小学5年から中学3年の約30人が参加する予定。女子100メートルの日本記録11秒21を持つ福島千里さんが講師役を務める。(遠田寛生)