◇国内男子◇ANAオープン 初日(18日)◇札幌GC輪厚コース(北海道)◇7066yd(パー72)◇晴れ(1346人)石…

ドライビングレンジで竹ぼうきを振る石川遼。今シーズン取り入れた練習法のひとつだ

◇国内男子◇ANAオープン 初日(18日)◇札幌GC輪厚コース(北海道)◇7066yd(パー72)◇晴れ(1346人)

石川遼は今季日本ツアー開幕直前からキャディバッグにホウキを入れた。長尺パターの異名であるブルームスティックではない。どこから見ても、ただの竹のホウキ。シーズンインした頃に真っ黒だった塗装は、いまや半分近くはげ落ちてしまっている。

もちろんバッグに収まっているのは練習場にいる間だけ。主にウォーミングアップ中に使うことが多く、ホウキで何度か素振りを繰り返す。ドライバーよりも長い分、「強制的に横振りになる」と、クラブと身体の動きが縦振りに近づかないよう矯正するのが大きな目的だという。

「振っていると結構キツイ」ことから、眠った身体を起こしたり、鍛えたりする効果も大きい。「ホウキだとヘッドスピードも遅くて、体への負担が急激でなく、ダウンからフォローまでずっと(緩やかに)かかり続けるので体にも優しい。そういう最新のトレーニング器具もあるんですけど、“原始的”なやり方で」と故障を避けながら強化に努めている。

超太グリップのドライバーでも練習

加えて、シーズン途中に取り入れたのが、直径10cm近い筒をシャフトの手元部分に装着したドライバー。“極太”どころではないグリップの入ったクラブでは実際にボールを打つ。こちらは「ホウキは握力も腕力もつくんですけど、筒の方はリストが使えないので体全体で、体幹を意識して打てるように」するのが狙い。「実際、僕はリストをたくさん使うタイプ。(使い過ぎないように)バランスを整える感じです」とやはりスイング矯正に役立てている。

本格的なショット練習に入る前に、数球を何気なく打っているようで、石川は都度、弾道測定器に目を凝らす。1球ごとに確認しているのはボール初速。「体や足の力を目いっぱい使ってヘッドスピードを上げていく目的もあります」と、こちらもトレーニングになる。

前日17日の誕生日を過ごし、34歳になって初めてのラウンドは「69」。最終9番(パー5)で2m強のパットを沈めこの日5つ目のバーディを奪い、3アンダー13位と上々の滑り出しを見せた。地味で、地道な取り組みは、途端に実を結ぶものかもしれない。(北海道北広島市/桂川洋一)