陸上女子400メートル障害の世界記録保持者、シドニー・マクラフリン(米)が18日夜、偉業に挑む。 世界選手権(世界陸上…
陸上女子400メートル障害の世界記録保持者、シドニー・マクラフリン(米)が18日夜、偉業に挑む。
世界選手権(世界陸上)東京大会で、ハードルのない400メートルでの世界新記録に期待が集まっている。
準決勝は残り100メートル時点で、圧倒的なリードを奪った。大型スクリーンで自身の位置を確認し、悠々とフィニッシュ。米国記録を19年ぶりに0秒41上回る48秒29を記録した。
「決勝に向けて大きな自信になった。もう一度、やることをやるだけ」
準決勝のレースを見て期待が高まるのが、1985年に樹立された世界記録47秒60の更新だ。
この記録は、ドーピング疑惑がある旧東ドイツのマリタ・コッホが出したもの。陸上界では「不滅」と言われてきた。
マクラフリンは「確かに長い間破られていないとても速いタイム。ただ、正しい時期や条件がそろえば、突破できるかもしれない」。
400メートル障害では東京、パリの五輪2大会で金メダル。世界選手権の2022年オレゴン大会でも優勝した。世界記録の50秒37は、歴代2位に0秒58差をつける強さを誇る。
今大会で400メートルに絞った理由をこう語る。「ハードルをやり尽くしたわけではない。万能なアスリートでありたいし、純粋に新しい挑戦をしたかった」
今季は100メートルで11秒21、100メートル障害で12秒70をマーク。短い距離でも、日本記録レベルの走力を備える。
尊敬する選手は、22年に引退した同じくマルチスプリンターのアリソン・フェリックス(米)。200メートルや400メートル、リレーで五輪のメダルを11個つかんだレジェンドだ。「優雅で品格があって、長年活躍した。速さにも姿勢にも心からあこがれた」
世界から注目が集まる中、メンタルのケアには繊細だ。SNSは使わない。「選手のストーリーを伝える有用なもの」と考える一方、「精神的な負担が大きい」と考えるからだ。
レース前の選手紹介でも、カメラを向かない。何かをつぶやき自分の世界に入る。
世界選手権で、400メートル障害の金メダリストが400メートルでも優勝すれば、史上初の「二刀流」の快挙となる。(加藤秀彬)