陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会が開催されている国立競技場では16日、珍しい光景があった。 世界陸連(WA)のグロ…
陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会が開催されている国立競技場では16日、珍しい光景があった。
世界陸連(WA)のグローバルパートナーの電子部品大手TDKが、2026年度入社の内定式を行った。来年4月入社が内定している149人のうち、約120人が参加。観客席に座って人財本部トップのアンドレアス・ケラー氏の話を聞いたり、トラックの上に立って記念撮影したりした。
TDKによると、国立競技場を含め、スタジアムで内定式を実施した例は過去にない。内定式自体も19年以来。20年以降は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、オンラインの懇談会などにとどまっていたという。
ケラー氏が「ユニークでラッキーな機会」と評した今回の内定式。実現には、実際に運もあったという。1983年からWAとパートナーシップを結ぶTDKなどのグローバルパートナーには今回、WAから特別な「特典」が付与された。
競技がない時間帯にトラックを使ったイベントを1回だけなら開いていい――という内容だった。社員に走ってもらう案もあったが、内定式に決定。次代を担う人材のために「1回」を使うことを選び、サプライズとして内定者にはぎりぎりまで伝えなかったという。
世界陸上はこの日は夜の部だけで、スタートは午後7時35分。内定式は午後3時半ごろから約1時間行われた。
「多様性やグローバルに働ける環境を求めた」と話す内定者の安倍萌香さん(22)は、17年ロンドン大会から世界陸上のファン。学生時代に投てき種目の経験があり、「フィールドに立たせてもらえると思っていなかったので、すごく興奮している」。
柔道や格闘系に関心があるという坪川虎ノ介さん(23)は、「世界に発信される場所に立てたことは本当に光栄です」と喜んでいた。(遠田寛生)