那覇で開催されたラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ。日本は準優勝を果たした。1…
那覇で開催されたラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ。日本は準優勝を果たした。12カ国が集まった今大会、日本の球団だけではなく、MLBのスカウトも視察に訪れたという。
U−18代表20名中プロ志望選手は7名。そんな7名のパフォーマンスを総括していきたい。
プロ志望の4投手はU-18でも高パフォーマンス!評価はさらに上昇
ドラフト1位候補の石垣 元気投手(健大高崎)はリリーフ3試合で、7.1回を投げ、7奪三振、防御率0.95と優秀な成績を残した。スーパーラウンドのアメリカ戦では、トラックマンで157キロを連発し、再戦となったアメリカとの決勝戦では156キロをマークした。国際大会仕様の硬いマウンドに対応するためにノーワインドアップにしたり、微調整を繰り返した結果、自己最速を更新した。しかし石垣は「最初のアメリカ戦は良かったけど、球質はまだまだ」と厳しい自己評価。この大会で150キロ台中盤〜後半の速球を投げるだけではなく、コントロール良く投げるアメリカ投手陣に刺激を受けたそうだ。
この経験を持ち帰ってドラフトへ向けて準備するつもりだ。海外スカウトから今回の日本代表で、最も評価が高かったのは石垣だった。将来的にはMLBも狙えるという。
甲子園以上の投球を見せたのは、奥村 頼人投手(横浜)だ。オープニングラウンドのプエルトリコ戦では、3回6奪三振、無失点の快投。自己最速を更新する148キロをマークし、伸びのある快速球を投げ込んだ。奥村は甲子園後から減量に取り組み、87キロから83キロへ。結果として体のキレが増し、快投につながった。
ただスーパーラウンドでは2失点を喫し、防御率は4,20まで悪化してしまった。奥村は「自分は持続性がないのが課題」と答えるように、高卒プロを狙う奥村は継続的に結果を出せるために調整法の工夫が活躍の鍵になりそう。
野手能力も高い奥村であるが、木製バットを使った今大会では、やはり厳しいものがあった。本人も「減量した分、打球が飛びにくくなかった」と投手仕様の体にしたことも一因だ。プロの世界では、投手として活躍を目指すことになりそうだ。
早瀬 朔投手(神村学園)はリリーフとして2勝をマークし、3試合で5回を投げ、6奪三振。1失点したが、失策絡みだったため、防御率は0.00だった。早瀬は縦振りの投球フォームで、角度のある140キロ台後半でねじ伏せる投球スタイルが持ち味。球質の良さに加え、185センチ78キロとまだ細身で、プロの世界でどれだけ速くなるのかと楽しみにさせる逸材だ。まだ投球のバリエーションなど課題は多いが、それも大きな伸びしろ。この世代は石垣が世代NO.1投手として評価されているが、数年経てばその立ち位置を逆転させるほどの素材である。
早瀬は甲子園初戦敗退に終わり、不完全燃焼に終わったが、その分、世界大会で投げられたことに満足げであった。
中野 大虎投手(大阪桐蔭)は、先発で1勝、中継ぎで2勝をあげ、タイトルを受賞した。最速148キロをマークしたストレート、切れのあるスライダーでコントロール良く投げる投球が光った。中野の良さは観察力の高さだ。スーパーラウンドではリードを許したパナマ戦など、好リリーフした試合ではストライク先行の投球をしていた。中野は「海外の打者は待球のスタイルをしているので、積極的に投げました」とパナマ打線を無安打に抑えた。中野は常に声を張り上げ、ナインに指示を送っていたが、相手やチームメイトを良く見ている。実力だけではなく、内面的な要素を高く評価する球団があるだろう。プロ野球は個人成績が求められるとはいえ、中野は組織にとってプラスになる人材だろう。中日の絶対的な中継ぎとして確立している藤嶋 健人投手(東邦)のような活躍を見せるかもしれない。
野手は木製バットに苦しみながらも奮闘!

野手は木製バットに慣れていない中、150キロを超える投手と対戦しなければならなかった。投手として比べて難易度が高い中、懸命な働きを見せた。
なかでも藤森 海斗外野手(明徳義塾)は30打数7安打、打率.233と、速球投手に食らいついてヒットにするなど、バットコントロールの良さが目についた。元からインサイドアウトで振り抜くのを得意としている藤森は好アピールとなった。
さらに外野守備でも球際の強さを発揮。ただ気になったのはスイングの弱さ。プロの世界ですぐに順応できそうなタイプだが、継続的に結果を残すにはスイングの強さ、打球の速さを求めていきたい。
今大会、日本選手の中で唯一本塁打を放った今岡 拓夢(神村学園)は最初、なかなか自分の打撃ができていなかったが、小倉全由監督から「バットが折れることを怖がっている」と指摘された後、強いスイングを心がけ、ポイントも微調整をした。その結果が南アフリカ戦での本塁打につながった。この大会では一塁守備がメインだったが、ポテンシャルの高さを示した。
世代屈指の強肩捕手・大栄 利哉(学法石川)は7打数0安打と苦しんだ。大栄は「慣れない木製バットの中、速球投手と対戦するのは想像以上に苦しいものでした。うまくいかず終わりました」と悔やむ。ただこの経験を前向きに捉えていた。
「プロを目指している上で、こういう投手たちとの対戦が続くと思います。卒業する前にU−18でプレーできたのは本当に良い経験になりました」
福島に戻ってからはプロを目指して練習に励む。
「プロに呼ばれたときに何も不安要素がないようにしたい。呼ばれるのを願って準備をしていきたい」
結果は芳しいものではなかったが、代表野手の中で、スイングの強さ、インパクト時の強さはダントツで大栄だった。抜群の強肩も申し分ない。この経験を糧にしたい。
この7名はU−18の経験がきっかけとなり、次のステージで大きく羽ばたくことを願いたい。