古くから「馬肥ゆる秋」と言われるが、実際には夏の休養を経て大きく成長する馬が多い。実際、神戸新聞杯は大幅馬体増で勝つ…

 古くから「馬肥ゆる秋」と言われるが、実際には夏の休養を経て大きく成長する馬が多い。実際、神戸新聞杯は大幅馬体増で勝つ馬が目立つ。今回は84年のグレード制導入以降、馬体重を2桁増やして勝った5頭を紹介したい。

 まずは87年のマックスビューティだ。春に桜花賞とオークスを制して牝馬二冠を達成。秋の始動戦には牡馬相手の神戸新聞杯を選び、プラス18kgの大幅馬体増も何のその、単勝1.6倍の1番人気に応えて完勝。重賞4つを含む7連勝を達成した。この後、次走のローズSを快勝したが、本番のエリザベス女王杯ではタレンティドガールの2着に敗退。三冠を逃すこととなる。

 続いては10年のローズキングダムだ。春は皐月賞が4着、日本ダービーが2着と善戦止まりだったが、夏休みを挟んで神戸新聞杯にプラス22kgで出走。初コンビとなる武豊騎手を背に、エイシンフラッシュとの一騎打ちを制した。そして翌11年は皐月賞、日本ダービーを制したオルフェーヴルが参戦した。日本ダービーから16kg増やし、2馬身半差の圧勝。菊花賞に向けて最高の始動戦とした。そして18年は日本ダービー馬のワグネリアン。プラス10kgでも仕上がりは良く、初騎乗の藤岡康太騎手との息もぴったりに堂々の差し切り。ただ、残念ながらこれが最後の勝利となった。

 そして直近の勝ち馬は21年のステラヴェローチェだ。春は皐月賞、日本ダービーともに3着。その後の夏休みを経て、神戸新聞杯にはプラス18kgで登場した。終日の雨で不良馬場となったが、2歳時に不良馬場のサウジアラビアRCを制していたステラヴェローチェには好都合だった。道中は後方2番手だったが、直線で馬群の中に進路を取って差し切り。2つ目のタイトルを手にするとともに、秋の大舞台に弾みをつけた。残念ながらGI制覇は果たせなかったが、今年からJBBA静内種馬場で種牡馬入り。2世の活躍を楽しみに待ちたい。