◇米国女子◇クローガー・クイーンシティ選手権 presented by P&G 最終日(14日)◇TPCリバーズ・ベン…

チャーリー・ハルが3年ぶりの3勝目をつかんだ

◇米国女子◇クローガー・クイーンシティ選手権 presented by P&G 最終日(14日)◇TPCリバーズ・ベンド(オハイオ州)◇6876yd(パー72)

最終18番(パー5)、チャーリー・ハル(イングランド)はイーグルを獲らなければプレーオフに持ち込めないと思っていた。同じ最終組で1打リードするジーノ・ティティクル(タイ)が2オンに成功。奥からのロングパットを寄せて2mもない返しのバーディパットを残していた。

自らも2オンしたが、左からイーグルトライを決められなかった時点で勝負あり…のはずだった。しかし、ティティクルのバーディパットがカップ左を抜けると、返しの1m強も右に外れた。まさかの4パットにハルも感情が追いつかない。いきなり優勝を決める一打になった30㎝ほどのバーディパットを前に2度も仕切り直した。

「『ヤバい、シャンクする』って思ったの。優勝が決まるパットだと気づいた瞬間、狂ったようにアドレナリンが全身を駆け巡って手が震えたんだ。たった1フィート(約30㎝)が、10フィートのように感じた」

極限の緊張感で、この距離が3mにも感じた

2022年「ボランティア・オブ・アメリカクラシック」以来3年ぶりのツアー3勝目。山下美夢有との優勝争いに敗れて2位となった8月「AIG女子オープン(全英女子)」の前後を含めたこの2カ月ほどは波乱続きだった。7月「エビアン選手権」の前に荷物を持ち上げた際に背中を痛めた。そのエビアンでもラウンド中に体調を崩して失神。棄権を余儀なくされた。全英女子での惜敗翌週にもゴルフのイベントに参加したが、駐車場で足首を負傷。じん帯を痛め、医師からは9週間の離脱も覚悟するよう言われた。

「でも、3週間で回復させて、先週プレーしたんだ」。米テキサス州で開催された欧州女子ツアー「アラムコ ヒューストン選手権」で2位フィニッシュ。全英女子から2試合連続で2位となって大会を迎えていた。「(フィジカル的な)痛みって、心の弱さなのかもと思うことがある。むしろ、それに助けられることもある。自分への期待値が下がって無理をしなくなるから。ジムでのトレーニングも、練習もやりすぎてしまうことがない。そういう時の方が、かえってゴルフの調子が上がったりするの」と実感を込めて話す。

すぐにロンドンへ向かい、ボーイフレンドとデートする予定

久々につかんだ優勝の余韻をかみ締めながら、すぐにいったん母国へ戻るという。「実はあした、ロンドンでボーイフレンドが素敵なサプライズを仕掛けてくれるみたい」。楽しみなデートを控え、ハイテンションで優勝会見の席を立った。(オハイオ州ハミルトン タウンシップ/亀山泰宏)