女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」のゴールキーパー(GK)として活躍し、2015年のワールドカップ準優勝に貢献し…
女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」のゴールキーパー(GK)として活躍し、2015年のワールドカップ準優勝に貢献した山根恵里奈さん(34)=広島県府中市。今年4月、19年ぶりに広島に戻り、府中市の「地域おこし協力隊」に就任した。
中学生で日本サッカー協会の若手発掘事業に参加してGKを始め、中学卒業後は県外へ。なでしこリーグ(当時)のジェフユナイテッド市原・千葉レディースや、スペインリーグでプレー。日本代表では国際Aマッチ26試合に出場した。
現役引退後は、東京のスポーツ関連企業で働いた。取引先に同県福山市を本拠とする社会人サッカーチーム「福山シティFC」があり、備後との縁が生まれた。
福山市の隣の府中市には女子サッカーチームがあり、市内の「TTCスポーツパーク上下(上下運動公園)」には、日本サッカー協会公認の人工芝グラウンドがある。
「県内のサッカー環境が以前より良くなっていると感じた。自分も『縁の下の力持ち』で協力できるかもと思った」
今年に入り、府中市が市内に移住して地域おこし活動をする「協力隊」を募集していることを知って応募した。
市内の学校で経験談を話したり、クラブ活動の場に参加してスポーツの楽しさを伝えたりする活動を続けている。
6月には小中一貫の市立府中明郷学園の9年生の授業で講演した。なでしこジャパンでリオ五輪出場を逃した後、「環境を変えたい」とスペインに移籍して周囲のポジティブな言動に接するうち、自分を肯定することの大切さを学んだことなどを話した。
「アスリートとして経験したことや考えたことから、皆さんのヒントになるようなことを伝えていければ」
このほか、福山シティFCの選手と一緒に学校の校門前であいさつをするなど、スポーツを通じた地域の活性化にも力を入れる。
いま温めているのが、上下運動公園の活用策。充実した施設をPRしてスポーツの合宿を誘致したり、女子サッカーのイベントを開いたりできないかと考えている。
「いまあるものを生かして、スポーツで市に新しい産業を生み出せる可能性があると思う。積極的に提案していきたい」(矢代正晶)
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1990年生まれ。広島市南区出身。日本サッカー協会の「JFAアカデミー福島」1期生を経て、2009年に東京電力に入団。千葉やスペインのレアル・ベティスでもプレーして、20年に引退した。