宿題のない夏休みが明けた最初の週末は台風の進路とのにらめっこが続いた。初日を全選手がなんとかホールアウトしたロピアフジ…
宿題のない夏休みが明けた最初の週末は台風の進路とのにらめっこが続いた。初日を全選手がなんとかホールアウトしたロピアフジサンケイクラシック。普段はあまり当てにならない天気予報サイトも、各社そろって金曜日は大雨予報グリグリのニジュウマル。予選ラウンド2日目の開催は厳しそうな状況のまま、昼間に失った塩分を取り戻すべく大皿の中華をビールで流し込み、そそくさとベッドに潜り込んだ。
ゴルフトーナメントの開催に大雨がもたらす影響はその日だけにとどまらない。選手やギャラリーをはじめ、ゴルフ場を訪れるすべての人の安全を確保しなければトーナメントを再開することはできない。自然を相手に、ほかのスポーツより圧倒的に広いフィールドで競技が行われるゴルフトーナメント。雨上がりの午後、18ホールを取り囲むこの広大な敷地を翌日までに元の状態に戻すという気の遠くなるようなミッションが関係者に突きつけられた。
日没が迫る中、台風一過がもたらした澄みわたる夕焼けの空とともにようやく姿を現した富士山が懸命な復旧作業を見守る。バンカーにたまった水を掻き出し、コース内外に散らばった木の枝や葉を回収し、崩れた箇所の回復を急ぐ。あの美しい富士桜カントリー倶楽部に戻す、というみんなの強い想いが届くことを願いながら、翌日に備え早めに目を閉じた。
嵐が去った後、ゴルフコースは真の美しさをのぞかせる。その姿を写すべく、いつも以上に早めにコースに入った僕は、関係者全員の想いが詰まったコースを一歩ずつ進んだ。バンカーの水はなくなり、散乱していた木々は見当たらない。写真を撮り進む中、仕上げの作業を終えたコーススタッフとすれ違うたびに挨拶を交わす。みんな笑顔だ。コース内に響きわたるグリーンの芝を刈る機械の音がこの宿題の完遂を知らせ、久しぶりに現れた太陽がみんなをたたえている。そして舞台は整った。(フォトグラファー・今井暖)