アメリカ遠征中のサッカー日本代表。第1戦のメキシコ代表戦で引き分けて、第2戦のアメリカ代表戦に臨む。FIFAランクで格…

 アメリカ遠征中のサッカー日本代表。第1戦のメキシコ代表戦で引き分けて、第2戦のアメリカ代表戦に臨む。FIFAランクで格上の相手との連戦だが、現時点での評価はどうか? サッカージャーナリスト後藤健生がメキシコ戦での「収穫」と、アメリカ戦での「課題」を挙げる!

■ワールドカップで「優勝」するために

 そして、今回のメキシコ戦でも完全にゲームをコントロールし、チャンスは何度もつくりながら無得点で終わってしまった。

 もちろん、オーストラリア戦でノーゴールに終わったのは、オーストラリアのトニー・ポポビッチ監督がホームゲームでも極端な守備的な戦い方を選択したからだ。まるで、ゴール前に大型バスを置いたような消極的(現実的)な戦い方だった。

 今回のメキシコも、最終ラインからの攻撃参加は控えて、日本相手に非常に慎重な戦いに終始した。

 ある程度の実力があるチームに守備的な戦い方をされれば、そう簡単にゴールを割ることはできない。それが、サッカーというスポーツの特性だ。

 だが、それではワールドカップ優勝どころか上位進出も不可能になってしまう。

 今の日本代表は、ワールドカップの組分け抽選でポット2に入る強豪国の一つだ。対戦相手は日本のことを研究して、慎重に(あるいは守備的に)戦ってくるはずだ。ドイツやスペインのような国でも、3年前のように日本を見下していてはくれない。ヨーロッパの中堅国でも、日本相手に最初から守備的に戦ってくるかもしれない。

 そういった相手に勝ち上がっていかなければならないのだ。

■なぜ「ゴール」を奪えなかったのか

 ノックアウト・ラウンドに入ってからの試合で相手に先制ゴールを許したら、相手は必ず守備を固めてくるだろう。そういう状況になったとしたら、オーストラリアやサウジアラビアよりもさらに強い相手の強力な守備陣を破って得点しなければ、即刻敗退となってしまう。

「優勝」するためには、そうしたノックアウトステージの5試合を勝ち抜かなくてはならないのだ。

 完全に自分たちがコントロールしたメキシコ戦でゴールを決められなかったというのは、そういう意味を持つことなのだ。

 日本代表は、なぜメキシコからゴールを奪えなかったのだろうか?

 前半の立ち上がりには、日本に何度か決定機が訪れた。開始4分でハイプレスからボールを奪った日本は堂安律から久保建英につなぎ、久保がペナルティーエリア内の右サイドからフリーで狙った。スペイン・リーグでも何度もゴールを陥れている得意の角度だったのだが、シュートはゴールの枠を外れてしまった。その後も中央からの遠藤航、久保のシュートなどチャンスは多かったが、GKのルイス・マラゴンの好守もあって、結局、前半はゴールを奪うことができなかった。

■課題は「シュート精度」だけじゃない

 前半は、多くのチャンスをつくってはいたのだから、課題はシュート精度の問題ということになる。

 だが、前半も時間の経過とともに次第に決定機は減っていく。そして、後半はメキシコが反撃に出る場面も増え、日本のチャンスは前半に比べてかなり少なくなった。

 メキシコがイルビング・ロサーノ投入以後、ピッチを上げたこともあるが、日本の重心が下がって、攻撃的選手たちのプレーゾーンがゴールから遠くなってしまったのが気になるところだった。

 日本のウィングバック(堂安、三笘薫)は、相手のSBをタイトにマークして無力化していたが、その分、上下動が多くなり、あまりにも守備にエネルギーを割きすぎた。2シャドー(久保、南野拓実)は相手のCBやGKにプレッシャーをかけ続けるばかりか、プレスバックして自陣深くで守備をする場面もあった。

 もちろん、彼らの守備面での貢献があったからこそ、日本がゲームを支配できたのだ。

 しかし、その分、攻撃の局面でもプレーゾーンを上げられなくなってしまった。

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