高崎中央ポニーの大型捕手・大澤羅生 元プロ野球のコーチも認める好素材の中学生だ。ポニーリーグの全日本選手権を制した高崎中…

高崎中央ポニーの大型捕手・大澤羅生

 元プロ野球のコーチも認める好素材の中学生だ。ポニーリーグの全日本選手権を制した高崎中央ポニー(群馬)で主将を務める大澤羅生(らい=3年)。178センチの大型捕手はプロ野球選手を目指して腕を磨いている。元巨人トレーニングコーチで、現在は巨人の野球振興部長を務める倉俣徹監督は「高校からプロ入りできるレベルの選手」とその能力に太鼓判を押す。

 高崎中央は中学硬式野球5リーグの全国王者による「3rdエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」(8月27~29日)に出場。28日に栃木県宇都宮市のエイジェックスタジアムで行われた初戦の準決勝でヤングリーグ代表のオール岡山ヤング(岡山)と対戦し、2-5で敗退した。

 大澤はこの試合に「6番・捕手」でフル出場。チームが3回に守備の乱れもあって5失点するなど厳しい戦いを強いられた中、7回に痛烈な中前打を放つなど打撃で2安打1四球と全3打席出塁して存在感を示した。

 大澤が非凡さを見せたのはグラウンドだけではない。先に行われていたもう1試合の準決勝は最終回まで2点差の接戦。最後は無死満塁と盛り上がりを見せていた。自分たちが勝ち上がれば勝利チームとは対戦することになる状況。息詰まる展開に、他のチームメートは一塁側カメラマン席横のフェンスから興味津々の様子で戦況を見つめていた。

 しかし大澤だけは試合には目もくれず、スペースを見つけて1人黙々と素振り。他チームのことを気にするより、やらなければいけないことがあるという感覚が自然と身についている。中学生とは思えない冷静さで、自分たちの試合のことだけを考えて準備を進めていた。

初めての神宮「将来、もう1回ここでやるんだという気持ち」

 昨秋は4番を打った強肩強打が持ち味の主将は、戦う姿勢や自覚も一味違う。倉俣監督は「守備の要です。肘を痛めていた昨秋は捕手じゃなくて、違うポジションを守らせていましたが、春に治ってからはチームの要です」と説明。「配球も考えてできるようになったし、肩は強いし、ブロッキングもうまい」と評した。

 複数の高校から勧誘の声があるという。プロの選手を間近で見てきた指揮官は「高校から大学に進学するのではなくて、高校からいきなりプロに行くんじゃないかな。そのレベルの選手だと思います」とさらなる成長を期待する。

 決勝戦が行われた29日は、準決勝までに敗退した3チームも神宮球場に集結。閉会式の前には、その3チームもグラウンドに立ってシートノックなどを行った。初めて神宮でプレーした大澤は「いつもと違ってプロが使っている環境で、喜びを感じました」と感激の面持ち。同時に「将来、もう1回ここでやるんだという気持ちが湧いてきました。プロ野球選手を目指してますし、そういう志を持ってやっていきたい」と将来を見据えて力強く宣言した。

 目標の選手はDeNAの山本祐大捕手。「打撃では長打ではなく中距離打者を目指したい。守備はブロッキングや二塁送球の安定性を磨いていきたいです」。体もプレーも、まだまだ成長できる余地を残す。この先、さらにスケールアップした姿を見せてくれるのが楽しみな逸材である。(尾辻剛 / Go Otsuji)