11日から茨城県の大洗ゴルフ倶楽部で今季国内メジャー第2戦となる日本女子プロゴルフ選手権が全長6840ヤード(パー72)…
11日から茨城県の大洗ゴルフ倶楽部で今季国内メジャー第2戦となる日本女子プロゴルフ選手権が全長6840ヤード(パー72)の設定で開催される。
“難攻不落”と称される大洗GCで注目したいのが、今季1勝をあげメルセデス・ランキング4位につけている河本結。
スタッツを見るとパット数やリカバリー率など、ショートゲームトータルで日本ツアーナンバー1とも言える好記録を残している。
難コースを舞台に我慢のゴルフを強いられることが予想される今回の戦い。これまでのように耐えきるゴルフを展開できれば、初メジャータイトル獲得の可能性が高まる。
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■メルセデス・ランキング4位
河本のメルセデス・ランキングは、佐久間朱莉、山下美夢有、小祝さくらに次ぐ4位。
山下は米ツアーを主戦場にしており、ポイントのほとんどは全英女子オープン優勝を含めたメジャーで獲得したもの(米ツアーのメジャー大会の成績は日本ツアーのポイントに加算される)。日本ツアーを主戦場にしている選手の中では河本は3位となる。
さらに、手首の怪我の影響でツアーを連続欠場中の小祝は、手術をすることを発表。今季中の復帰は諦め、来季開幕戦に手首に不安のない状態で臨むことを目指すことにしたようだ。
よって、年間女王争いは今季初優勝を含む3勝をあげている佐久間と河本の争いとなりそう。
国内メジャーは、他の国内大会よりもポイントが高い。河本が優勝すれば、一気にトップに躍り出る可能性があり、今季の目標として掲げる年間女王に近づく。
■ショートゲーム 日本ツアーナンバー1
今季現時点で、パーオンホールの平均パット数が3位、1ラウンドあたりの平均パット数が4位、3パット率が2位、リカバリー率が1位、サンドセーブ率が5位と、ショートゲームのスタッツで好記録を出している。
結果、パーセーブ率が2位、平均バーディ数が6位。平均ストロークが2位である。
パーオン率が36位でありながら、これだけスコアをまとめているのだから、パーオン率12位でメルセデス・ランキング8位に入った2019年の頃のショット精度に戻すことができれば、圧倒的な強さを見せられるかもしれない。

河本結 スタッツ(9月7日時点)
■難コース歓迎か
大洗GCは22年と24年の最終プロテストの会場にもなったが、この時のカットラインはどちらの年も4オーバー。他の年(会場)の最終プロテストよりもカットラインが低かった。
5日から開催されたゴルフ5レディスで初優勝を飾った荒木優奈は24年のプロテスト合格組。荒木は4日間で6アンダー。コースの設定は全長6543ヤード、パー72である。
今回の日本女子プロは過去大会に比べると我慢が強いられロースコア決着になるのではないだろうか。
ショートゲームが強みの河本にとっては、難コースは好材料かもしれない。
■米ツアー再挑戦へ
河本は20年、米ツアーに挑戦したものの、シーズン途中で撤退した。明言はしていないものの米ツアー再挑戦も視野にあるよう。ただ、今は年間女王を獲ることに集中している、とのことだ。
「ロス五輪に出たい」ということも口にしている河本は、現時点の世界ランキングが62位で日本勢10番手。
世界ランキングに反映されるポイントが大きい米ツアーで好成績をあげている日本勢の勢いは今後も続くことが予想される。であれば、河本も米ツアーで日本勢としのぎを削りながらポイントを稼ぐ必要がある。
国内メジャーで優勝すれば、仮に年間女王のタイトルを逃したとしても任意の年からスタートできる複数年シードを得られる。それは、米ツアー再挑戦を後押しするものになるだろう。
「国内メジャー」「大洗GC」で思い出されるのが1998年男子ツアーの日本オープン。優勝した田中秀道が最終日18番ホールで林の中から放った起死回生のスーパーショット、そして劇的な試合展開は、今も語り継がれている。
今回はどのようなドラマが待っているのだろうか。主役はこの日本オープンが開催された1998年に生まれた河本になるかもしれない。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。