今週は秋華賞トライアル、第43回ローズS(GII、芝1800m)が阪神競馬場で行われる。今年は、オークス馬カムニャックを…

今週は秋華賞トライアル、第43回ローズS(GII、芝1800m)が阪神競馬場で行われる。

今年は、オークス馬カムニャックをはじめ、同3着タガノアビーや、同4着パラディレーヌ、NHKマイルC3着チェルビアットに、阪神JF2着ビップデイジーふとなど、世代GIで上位を賑わせた馬が多く参戦。対して、スイートピーS勝ちのルージュソリテールや、3連勝中の上がり馬ミッキージュエリー、無敗のセナスタイルなど、上がり馬も秋のビッグタイトルへ向けて虎視眈々。秋華賞の切符獲得へ激しい戦いが期待される。

そんな中、NHKマイルC3着の実績光るチェルビアットが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■鞍上込みで人気沸騰も、今回は見送りが賢明な理由

チェルビアットはGI2勝ショウナンパンドラの半妹として期待の大きい1頭。初勝利まで4戦を要したが、重賞初挑戦となったフィリーズレビューでは、鋭い決め手を発揮して14番人気をあざ笑うかのように2着に好走。続く桜花賞では6着に敗れたが、前走NHKマイルCでは12番人気ながら、パンジャタワーからタイム差なしの3着に激走し、世代トップクラスの力を見せつけた。秋は11年前に姉が制した秋華賞へ向けてローズSから始動。ここは何が何でも権利を獲得したいところだろう。

とはいえ、姉ショウナンパンドラの父ディープインパクトから、チェルビアットは父ロードカナロアに変わり、やや短距離志向なのは否めない。キャリアでも唯一の勝ち鞍は芝1200mで、2歳時に芝1800mは一度経験しているものの、掲示板には入れなかった。今回は久々の中距離戦への対応がカギを握るだろう。

ロードカナロア産駒も、芝1800m戦では重賞5勝をマークしているが、阪神芝1800mでの重賞は【0.1.1.6】で未勝利。2023年ローズSでは、のちにエリザベス女王杯を制しているブレイディヴェーグが、1番人気で2着と取りこぼしているように、コースとの相性は決して良くはなく、血統面からは、大きな信頼は寄せられない。

■戦歴から浮かび上がる2つの懸念

前走マイル戦という点もマイナス材料。過去10年のローズSで、レースを問わず前走芝1600m戦だった馬は【1.0.2.13】の成績で、これが20~22・24年に中京芝2000mで施行された年を除き、阪神芝1800mのローズSに限ると【1.0.0.11】で、さらに成績は良くない。桜花賞やNHKマイルCからの直行も連対例はなく、16年桜花賞馬ジュエラーも、直行でローズSを使い、2番人気で11着に大敗している。前走でマイルGI好走も、即通用するとは限らないのがローズSの特徴といえるだろう。

またチェルビアットは、すでに7戦のキャリアを要している点も懸念材料。過去10年のローズSでは、優勝馬10頭中9頭が、キャリア5戦以下の馬が占めており、キャリア7戦以上では【1.3.7.62】で、勝ったのは19年ダノンファンタジーのみ。しかも同馬はすでに阪神JFを制しており、GI勝ちのないキャリアの多い馬は、厳しい戦いを強いられている。

チェルビアットは、フィリーズレビューやNHKマイルCなど、人気薄の際に好走する穴メーカー。今回は鞍上にルメールを迎え、前走実績なども加味されて、ある程度の注目を集める存在となるだろう。しかし、距離・血統面の不安や、臨戦過程、キャリアの多さなど、懸念材料が多く、人気ほどの妙味はないと考え、少なくとも「頭」勝負は避け、場合によっては「消し」でいってみたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。