U-18W杯で大会通訳を務める立命館アジア太平洋大の岡彩音さん 尽きぬ野球愛で日本と世界をつなぐ。5日から沖縄県で開催さ…
U-18W杯で大会通訳を務める立命館アジア太平洋大の岡彩音さん
尽きぬ野球愛で日本と世界をつなぐ。5日から沖縄県で開催されている「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」。連日選手たちが激戦を繰り広げる裏で、多くの人たちが大会を支えている。その中には、韓国代表の通訳を一生懸命に務める日本人女子大生の姿があった。
世界中の代表チームが集まり世界一を決めるU-18W杯。様々な言語が飛び交う舞台で重要になるのが通訳の存在だ。その中で韓国代表を支えるのが立命館アジア太平洋大学の4年生・岡彩音さんだ。昔から野球が好きという事もあり、学校から今大会のスタッフ募集を聞いて迷わず応募。韓国代表をサポートすることになった。
元々、外国語に興味があり同校の国際経営学部に入学。英語で講義を受けながら、好きだった韓国語の勉強もしてきた。中学生の頃にハマったK-POPアイドルやドラマをきっかけに、そこから本格的に講義を1年間受け、大きく上達。今では完璧な訳と豊富な野球の知識で難しい質問や回答にも対応している。
これまで観光客相手に簡単な対応をした事はあったが、ここまで本格的にメモを取りながらの通訳は初めて。「細かいニュアンスに気をつけたり、質問や回答が長くなった時はやばい! って内心焦っています(笑)」。悪戦苦闘しながらも明るく振る舞っている。
高校時代は競技かるた部。野球やソフトボール、マネジャーの経験はゼロ。それでも野球への愛と知識には自信がある。「野球の事なら何でも任せてください!」。取材時にそう言い切ってくれたのが印象的だ。
幼い頃は好きなテレビ番組が突如、プロ野球中継に変わってしまう経験から、野球はむしろ“苦手”だった。しかし小学生の頃、母に連れられ春のセンバツを見たことで人生が一変。「はっきり覚えています。済美高校と広陵高校の試合を観た時に、あまりにも甲子園球場が綺麗すぎて、めっちゃすごい! って気に入ってしまって」。
魅せられた野球の真の魅力「年に76試合を現地観戦」
野球漬けの日々が始まった。大学進学で大分県に住んでからは、近くにプロ野球チームがなかったが、アマチュア野球に触れて「野球の面白さってひとつじゃない」と衝撃を受けた。そこから一気に熱は加速。暇さえあれば大学、社会人、独立リーグまで見に行くようになった。最も多い時はプロアマ合わせて「年に76試合を現地観戦した」というから驚きだ。アルバイトで稼いだお金はほぼ野球に注ぎ込んだ。
アマチュア野球に魅せられた。「プロと違って応援もないので、投げたり打ったりする音が聞こえてくる。もちろん皆さん上手なんですけど、世間的にはまだ目立ってはいない選手もたくさんいる。私自身、野球経験はないですが、自分なりにそういった選手を発見したり、出会ったりするのが楽しくて」。野球を語り出すと、ついつい笑顔になっていく。
秋のフェニックスリーグまで足を運んだ際、参加していた韓国プロ野球(KBO)の163キロ右腕キム・ソヒョン投手に一目惚れ。ブルペンでの豪速球をみて「こんな選手が韓国にもいるんや!」と虜になった。それからは国内野球だけにとどまらず、今年は単身渡韓しKBOを7試合も現地観戦した。
今大会で野球の新たな魅力を肌で感じた。「支える側に入れているのも光栄ですし、もう最高です。日韓を繋ぐ架け橋となれている実感が楽しいんです」。さらに「自分が訳した言葉で記事になっているのを見た時は、嬉しかったですね」。見る立場から、野球の魅力を伝える立場に変わり、さらに野球が好きになった。
夢も増えた。「実は通訳には苦手意識があったのですが……今回の経験で自信がつきました。ファーストキャリアは別業界ですが、いつかは野球業界で働いてみたいです」と目を輝かせる。誰にも負けぬ深い愛で日韓の野球界を繋ぎ続ける。(木村竜也 / Tatsuya Kimura)