春先から打ち続け、ブレずに成績を残し続けた佐藤(C)Getty Images 9月7日に本拠地・甲子園で行われた広島戦に…

春先から打ち続け、ブレずに成績を残し続けた佐藤(C)Getty Images
9月7日に本拠地・甲子園で行われた広島戦に阪神は2-0で完勝。「1」としていた優勝マジックを自力で減らし、球団創設90周年の節目の年にタイトル奪還を果たした。
今年の阪神は強かった。本当に強かった。それは何よりも数字が物語る。2位の巨人と17ゲーム差をつけて、貯金はなんと33。2位以下が勝率5割を切る、借金状態という異例の事態を作り出した猛虎は、春先から首位をひた走り、2リーグ制後、史上最速でのリーグ優勝を決めた。
その強さの理由は一つだけではない。就任当初から「凡事徹底」をチーム内に植え付けた藤川球児監督が優勝監督インタビューで「何が強かったかっていうことが、まだ分からない。そのあたりが本当の強さだと思いますから」と説いたように、攻守において他を圧倒する凄みがあった。
ただ、その勢いを象徴する存在はいる。打線で言えば、「不動の4番」として君臨した佐藤輝明だろう。例年であれば、疲労の色も見え始める8月も乗り切った背番号8は、124試合に出場して、打率.277、36本塁打、89打点、長打率.583、OPS.930とハイアベレージをマーク。課題だった好不調の波もほとんどなく、安定して活躍し続けた。
そんな頼もしき4番へと成長した大砲に指揮官も目を細めた。優勝決定後に毎日放送の「またリーグ優勝やねん みんなでお祝いしよんSP」に出演した藤川監督は、「やっぱり守備からかもしれないですね」とポツり。今季は失策数が5(昨季は23)と激減したところにも表れた佐藤の姿勢を評価した。
「秋季キャンプの11月から心の揺れ動きのないチームを作ると話をしていた。盛り上がりすぎないこと、それからへこみ過ぎないこと。長いことを戦う上でテンションが変わると言うのは苦しみを生むと僕は言っていた。だから、佐藤は守備の時に腰が据わって、安定しだして、練習に没頭しだした。そうすることで、打撃でも足が動かなくなった。1、2打席のミスでは(心が)動かなくなってきた」
ここぞで打ってくれる佐藤の精神的な成長。それが藤川阪神の飛躍を支えたのは間違いないと言えそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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