ローソンのマシンと接触してパーツを損傷してしまった角田(C)Getty Images「姉妹チームとはいえ、僕らは敵同士で…

ローソンのマシンと接触してパーツを損傷してしまった角田(C)Getty Images

「姉妹チームとはいえ、僕らは敵同士で、特に今の僕は世界で最も激しい競争の中にいる。だけど同時に、決して越えてはいけない一線と敬意は常にある」

 現地時間9月7日に行われたF1今季第16戦となるイタリアGPの決勝後、レッドブルの角田裕毅は、フラストレーションを爆発させた。

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 理由は明らかだった。9番グリッドでスタートし、2戦連続のポイント獲得に迫っていた角田だったが、27週目から競り合い、後方からオーバーテイクを狙ったリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)と3度も接触。マシン右側のフロアが損傷したために、ダウンフォースが低下し、ペースも大幅ダウン。結局、13位に甘んじた。

 レッドブルグループに属する“同僚”の攻撃によって生じたダメージは、ポイント獲得を目標に据えた角田にとって、あまりに痛恨だった。ゆえに彼は決勝後のフラッシュインタビューで「正直、めっちゃイライラする」「自分はポイントを争っていたのに」と激怒。苛立ちを隠そうとはしなかった。

 実際、レッドブル残留を巡って来季去就の話題が尽きない角田にとっては、不満の募る結果と言える。チームからは10月のメキシコGPを目途に残りレースの結果と内容で契約を調整する方針を提示されている25歳は、今がまさに正念場。1戦だろうとポイントの喪失はしたくないのである。

 そうした中で「不運」とも言えるローソンとのアクシデントに苛まされた今回の角田をチームはどう評価したのか。ローラン・メキース代表は、米メディア『Motor Sport』で「皆さんと同じように、予選ペースとレースペースが、我々が重視している部分だ。とてもシンプルなことだ」と説明。その上で、“愛弟子”である角田の走行内容を次のように評している。

「予選から振り返ると、ユウキにとって良い週末だったと言える。Q1では、マックスとの差はコンマ2秒。しかも、今週末のマックスは、決して遅かったわけではない。(マシンの)スペックに少し差があったとはいえ、Q2でもコンマ2秒台の差だった。Q2では全員が100%の力でプッシュしていたのは間違いない。Q3でこそ、差は少しだけ広がったが、彼がQ3に進出できたのは、素晴らしい結果だった。しかもQ3最後のアタックでは、最初にコースインしたこともプラスには働かなかった」

 一方でフランス人の名伯楽は、角田に対する課題も口にしている。

「ロングランのペースは、クリーンなレースを戦えなかったのが、残念だ。正直に言えば、今日の走りは良いサンプルとは言えない。上位のレースは非常にクリーンで、少なくとも1スティントは、個々のパフォーマンスを読み取ることができる。だが、ユウキに関して何かを得るのは困難だ。ここ数戦の彼は、予選ペースよりも決勝ペースにもっと取り組む必要があると言えるよ」

 次回のアゼルバイジャンGPでは、角田のマシンにも最新型のフロアパーツを導入予定とされている。結果と内容の双方を求められる過酷な立場にある25歳が、チームのサポート受けてどう変わるかに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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