阪神で新任の監督が優勝を飾るのは史上初の快挙となる(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext 今季…

阪神で新任の監督が優勝を飾るのは史上初の快挙となる(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext

 今季、圧倒的な強さを誇った、阪神がとうとう優勝を果たした。

 9月7日に行われた広島戦(甲子園)に2-0と勝利。9月7日にリーグ優勝を決めたのは2リーグ制後、史上最速となった。

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 2回無死一、三塁の好機に高寺望夢が犠飛を決め、先制すると6回一死三塁の好機に近本光司もしっかり犠飛を決め、リードを2点に広げる。

 先発を任された才木浩人が5回にまさかの危険球退場というアクシデントもありながら、緊急登板した湯浅京己が後続を断ち、無失点に抑えると、6回からは桐敷拓馬、及川雅貴、石井大智とつなぎ、2点差の9回に登板した守護神・岩崎優が三人で抑え、ゲームセット。2リーグ分立後では史上最速V、阪神において新人監督が優勝を果たすのも史上初となった。球団創設90周年の節目に青年監督が大きな仕事をやってのけた。

 交流戦では連敗の時期もありながら、7月には11連勝と盛り返し、セ・リーグの貯金を独占と歴史的な強さを誇ったチームでは指揮官の卓越したマネジメント力、柔軟な用兵がたびたび話題になった。

 まず強みである投手陣では先発陣は村上頌樹、才木浩人の両エースを軸に、先発ローテに幅を持たせ、デュプランティエ、ルーキー左腕・伊原陵人が安定したピッチングで前半戦のチームを支えた。

 また選手たちのコンディションを見ながら「積極的休養」を取り入れたことも話題を呼んだ。1-5番の不動のオーダーとされたレギュラー陣に関しても、疲労がたまっているとみれば先発を外し、かわって若い選手を起用してきた。

 昨年までは代走、守備固めが主だった熊谷敬宥や高卒5年シーズンの高寺望夢、豊田寛、中川勇斗など、新たな戦力を掘り起こし、「勝利と育成」の2大命題を進めたことも評価されている。

 そして、ファンが心を動かされたのは、優勝が決まった7日のオーダーにもあった。この試合に「6番・遊撃」で先発したのは木浪聖也だった。今季は遊撃のポジション争いで苦しい立場に置かれていたが、勝てば優勝が決まる試合で先発起用。

 ベンチの期待に応え、背番号0は2回無死二塁から右前打、4回先頭の打席でも中前に運ぶなど、マルチ安打を記録。この起用にはファンも反応。XなどSNS上では「藤川球児監督の想いが伝わるスタメン」「木浪スタメンは胸アツ」「泣かせにきてんのか」など、感動の輪が広がった。
 
 試合後の優勝監督インタビューでは「選手たちが強い」「心強い選手たち」と称えた藤川監督。その背中を押し続け、たとえミスをしてもまたチャンスを与えた。主力と若手の融合、選手たちの努力、試合に向け準備する姿勢をしっかり「見てきた」ことがチームの活性化、好循環につながったと言えるだろう。

 今季は2位以下が借金と独走したことも話題を呼んだ。圧巻の手腕で就任1年目からチームを優勝に導いた藤川阪神の黄金時代はまだまだ続きそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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