◇国内男子◇ロピア フジサンケイクラシック 最終日(7日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)◇晴れ(観衆12…

たくさんの刺激を成長の糧に

◇国内男子◇ロピア フジサンケイクラシック 最終日(7日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)◇晴れ(観衆1273人)

1打リードで迎えた最終18番グリーン。決めれば初優勝となる1mのパーパットを前に起きていた手の震えは、素振りをしているうちにピタリと止まった。プロ4年目、22歳での初タイトル。長野泰雅は、待ち受けていたプロ仲間たちから盛大なウオーターシャワーを浴びた。

勝利の瞬間を前に「(脳裏に)よぎっていた」ことがある。2023年「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」の最終日。今回と同じ1mのウィニングパットを外してプレーオフに持ち込まれ、谷原秀人に敗れてガックリと肩を落とした。

「あの時の後悔は、メッチャ緊張していたことと、思ったことを自分の中でためていたこと」。今回は、山本凌平キャディに“緊張している”“外しそう”など「ふざけながら」弱音を吐き出すことで気を紛らわせ、2年前の悪夢を振り払うことができた。

「腐っていた」昨年を乗り越えて。初優勝を飾った長野泰雅

福岡・沖学園高3年時の2021年にプロ転向。翌22年のプロテストを19歳でトップ合格し、同年に初シードを獲得するなど順調にキャリアを築いてきた。しかし、目標に掲げていた“10代V”は達成できず、目前にあった初優勝を逃した23年のダメージは思いのほか大きかった。「去年は一年、腐っていた。やる気のない一年だった」と振り返る。

モチベーションを取り戻す一番のきっかけとなったのが、今年からクラブ契約をフリーにしたことだった。「いろいろなクラブを使ってみたかったし、自由に選べることが楽しかった」。現在バッグに入っている14本で、昨年から同じクラブは3番ウッドとユーティリティの2本だけ。今週はアイアンのヘッドとシャフトを一新し、初日から大きな手応えを口にしていた。

副賞の日産「フェアレディZ」もゲット!

今季2勝で賞金ランキングトップを走る生源寺龍憲が、今年から長野の地元の福岡県に拠点を移したことも大きな刺激になっている。「一緒に練習してくれたり、優勝したりとか。自分もゴルフに熱が入り、集中できる年になっていると思う」という。

目下のターゲットは「日本オープンで優勝して、マスターズに出場すること」。今年の10月「日本オープン」(栃木・日光CC)優勝者に26年の海外メジャー初戦「マスターズ」の出場資格が与えられるとの8月末の発表は、長野のモチベーションをさらに高めるビッグニュースだった。刺激に満ちた環境に変わった今シーズン。「早い方だとは思うけど、長かった」と話す初優勝が、その背中をさらに後押しする。(山梨県河口湖町/塚田達也)