「今日決めて」「優勝しかない」――。プロ野球の阪神タイガースは7日、2年ぶりのセ・リーグ優勝を果たし、阪神甲子園球場(…

 「今日決めて」「優勝しかない」――。プロ野球の阪神タイガースは7日、2年ぶりのセ・リーグ優勝を果たし、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)に集まったファンは歓喜した。

 優勝の瞬間、甲子園球場のファンは総立ちになってメガホンを突き上げた。マウンドで歓喜の輪を作る選手に向けて六甲おろしを大合唱した。

 「やったー!」。森本崇之さん(45)=和歌山市=はライトスタンドで家族と喜びを分かちあった。

 藤川球児監督の現役時代からのファン。この日も背番号22のユニホームを着て応援した。ストッパーの岩崎優が藤川監督の現役時代の曲で登場したときは「めっちゃいい演出で泣いてしまった」。監督1年目の優勝に「このまま黄金時代を迎えてほしい」と話した。

 草野球仲間と観戦した空(そら)孝行さん(58)=大阪市淀川区=は、「ずっと阪神を応援してきたが、優勝の瞬間を甲子園で観たのは生まれて初めて。うれしい。泣きました」と話した。

 優勝セレモニーの途中、選手たちはペナントを持ってグラウンドを一周した。

 一塁側のアルプススタンドで見守った小川純さん(42)=大阪府大東市=は「ありがとう!」と大声で選手たちに感謝を伝えた。

 4人の子どもと一緒に今季は10試合以上観戦した。「タイガースは家族が一つになれるかけがえのない存在。本当に感謝したい」と話した。

 優勝へのマジックナンバー「1」で迎えたこの日、球場には試合前からファンが続々と訪れた。

 大阪府大東市から家族6人で訪れた小川亜希子さん(38)は「2月に買ったチケットが優勝が決まる日になるなんて幸運すぎる」と笑顔を見せた。

 左翼席に年間予約席を持つ武田佑太さん(30)と朱音(あかね)さん(30)夫妻は、今シーズン、甲子園球場での阪神戦はほぼ観戦した。佑太さんは「今日も勝って優勝を決めてくれるはず」とエールを送った。

 兵庫県稲美町から応援にかけつけた池尻勝俊さん(70)は試合前、球場近くの甲子園素盞嗚(すさのお)神社でお参りした。「神様に必勝祈願をしたので、優勝しかない」と力強く語った。

 おそろいの虎の耳のカチューシャをつけた伊勢木美郁(みく)さん(18)と美音(みお)さん(16)の姉妹は、小学生の頃から阪神ファン。「絶対優勝してほしい」と手作りのうちわで、スタンドから応援する。

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 大阪・道頓堀川では、阪神の優勝のたびに戎橋(えびすばし)から飛び込む人が相次ぎ、死亡事故も起きている。

 試合が始まる午後6時前から、戎橋が見える橋の欄干にシートが張られ、川が見えなくなった。続いて大阪府警の警察官が戎橋の両端に一列に立って通行者が端に近づけないようにするとともに、左側通行を呼びかけ始めた。

 戎橋では、阪神の優勝が近づいてくるとユニホームを着たファンの姿も増え、橋に向かう人たちでいっぱいに。優勝が決まると大きな歓声が起こった。

 大阪市内から来た大学生の鈴木優浩さん(22)は「優勝をみんなで喜びたいと来ました。2年ぶりの優勝で、最速の優勝でうれしい」。奈良市の川口典彦さん(51)は今月2日が誕生日といい、「今日は仕事も昼で切り上げて、戎橋にきました。抑える人が抑え、打つ人が打ち、いい誕生日プレゼントです」と喜んだ。(田中祐也、田口慎太郎、前田智)