◇国内女子◇ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 最終日(7日)◇ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(千葉県)◇65…

20歳の荒木優奈がツアー初優勝。今季のルーキーでは2人目

◇国内女子◇ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 最終日(7日)◇ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(千葉県)◇6505yd(パー72)◇晴れ(観衆1681人)

順位表がほとんど設けられていない会場で、自らのポジションを把握したのはバックナインも半ばを迎えたところだった。後半14番(パー3)、荒木優奈の目に入ったのはボランティアスタッフが掲げていた前の組のスコアボード。「うおっ、ガチかー。優奈、トップかも!」。2オンに成功した前の13番(パー5)で2連続バーディを奪い単独トップに浮上。難関ホールが続く終盤に向け、気を引き締め直した。

10番からの2連続ボギーで後退したはずの柏原明日架に追われる展開となった最終局面。2m弱のバーディパットを外した16番で1打差に迫られても、荒木は笑っていた。18番、勝負の一打は1.5mを残したシビアなパーパット。「追い込みすぎてもアレかな。外してもプレーオフに行ける」とシンプルに考えて下りのフックラインに集中した。

ピンチでもニコニコ

緊張で震えかけた手に「しっかり力を入れて」、ボールをカップに沈め20歳は満面の笑み。「終わったー!ワーッ!ってなりました」。5バーディ、1ボギーの「68」で通算12アンダー。佐久間朱莉に敗れて2位に終わった5月の「ブリヂストンレディス」で泣きはらした時とは違う、うれし涙が「ちょっと。ちょちょぎれるくらい」こぼれた。

ルーキーイヤーでのツアー初優勝を天真爛漫に喜ぶ姿とは裏腹に、荒木は10代後半で天国も、地獄も味わった。宮崎・日章学園高2年時の2022年に「日本ジュニア」を制したナショナルチームの元エース。輝かしいキャリアで築いた自信は、23年に初挑戦した日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストで打ち砕かれた。

緊張感いっぱいの終盤も隙を見せなかった

体調不良と「イップス気味だった」というパッティングの不調をきっかけに不合格。ヤル気は減退し、卒業前に友人たちと遊び呆けた時期もあった。「カラオケに行ったり、海を見に行ったり、映画を見たり。(自動車)教習所に行くって言って部活に行かず、1週間まったくゴルフをしないときもありました」

ただ、どんなに腐っても、プロになる夢だけは捨てきれなかった。卒業間際に推薦出場したツアーで活力を取り戻し、昨年プロテストに合格。1年目の今季は高校で3年間同じクラスだった菅楓華の活躍に刺激され、6月「ニチレイレディス」では新人一番乗りで勝った入谷響に心を打たれた。「スゲー!と思って。本当に感動した。同期は(下部)ステップアップツアーでも勝っていて、自分も優勝者になりたいと思った」。ほんの少し、後れを取った背中を押してくれたのは、かつて自分が引っ張っていた仲間たちの存在だった。

2年目には年間女王を目指す

1勝としての価値は揺るがないとはいえ、今大会が台風15号による36ホールの短縮競技だったことを忘れていない。「2日間(大会)で今回の優勝はマグレと思う人もいる。自分でも2日間だから…という気持ちもある。3日間、4日間で優勝することがことしの目標」と残りシーズンのターゲットを掲げた。「来年は年間女王を目標にやりたい」。日本ツアーのトップ、そして海の向こうへ。目指す姿はもっと輝かしい。(千葉県市原市/桂川洋一)