プロ野球はいよいよ大詰め。今季もアマチュア時代の未来像を上回る活躍を見せる選手たちがいました。楽天・中島 大輔外野手がそ…
プロ野球はいよいよ大詰め。今季もアマチュア時代の未来像を上回る活躍を見せる選手たちがいました。楽天・中島 大輔外野手がその一人です。
プロ2年目の今季は102試合に出場して、打率.289、6本塁打、27打点、18盗塁(9月5日現在)とかなりの好成績を残しています。高校、大学から見ている選手ですが、ここまで活躍するとは想像できませんでした。
高校時代は存在感がない選手と呼ばれていた
中島選手は龍谷大平安時代、1番センターとして活躍。龍谷大平安は俊足の1番センターがスタメンにつくのが恒例でした。
中島選手は19年の選抜に出場を果たしますが、大会前、なぜ龍谷大平安は「1番センター」が多いのか、自身も現役時代1番・センターだった原田英彦前監督に取材したことがありました。
「僕は初回が好きなんです。1番バッターが初回に出てほしい。僕は初回の第1打席は大事にしていたし、初回の出塁率はメチャクチャ高かったです。チームとして先頭バッターが初回に出るのは先攻であろうが後攻であろうが、こちらが試合を支配できるかなという雰囲気になります」
さらにセンターは俊足選手を置きたいというのが原田監督の方針。結果として1番センターは龍谷大平安の恒例となりました。
当時の中島選手はとにかく足がめっぽう速い選手ですが、ややパワーがないのが気になりました。中島選手について原田監督は「足は速く、ミート力も高い」と評価しながらも、「まだ練習では目立たない」と気持ちの面で物足りなさを感じていました。存在感がない選手という評価もあったそうです。
その後、中島選手は青山学院大に進学し、23年の大学選手権優勝、神宮大会準優勝に貢献しました。プレースタイルは俊足、そして高いミート力を武器にする巧打のスタイルはそのままでしたが、驚くべきは主将としてチームをけん引していたことです。中島選手の高校時代、平安グラウンドまで取材して見たことはありますが、それほどチームをまとめるような雰囲気を持っていませんでした。大学最終学年での中島選手の立ち居振る舞いを見ると、ここまで立派に変われるのか…と驚きの一言でした。グラウンドに立った時の存在感、試合後の取材の言葉選び、関係者へ挨拶する姿など青山学院大の4年間で大きく変わりました。
4年秋のリーグ戦を見ると、ややひ弱さがあった打撃も、しっかりと振り切って強い打球を打てていて、選手としてかなりレベルアップしていました。楽天から6位指名と、ギリギリで指名され、プロ入りの夢をかなえました。
想像を上回るプロ入り後の急成長
そしてプロ入り後、驚くような成長を見せます。1年目は37試合に出場。そして2年目は出場機会を大きく増やし、101試合で18盗塁。高校時代から光っていた俊足を発揮しただけではなく、なんと6本塁打。
打撃フォームがヤクルト、日本ハムで活躍した稲葉篤紀氏に似た打撃フォームとなっていて、明らかにスイングの強さが変わっていました。体つきもだいぶたくましくなりました。
高校時代に取材したこともある関西圏の記者は「存在感がない選手といわれていましたが、ここまでの活躍は驚きです」と語ります。
打撃、走塁だけではなく、守備範囲が広く、正確な送球を見せる外野守備もレベルが高く、走攻守すべてにおいて貢献度の高いパフォーマンスを見せています。
楽天ファンから「なぜ6位で獲得できた?」という驚きのコメントが相次いでいます。アマチュア時代から見ている我々かすれば、プロ入り後の成長は想像以上でした。
9月5日までの打席数は385。規定打席の443まであと少しです。中島選手の代は中日・石川 昂弥内野手(東邦)、楽天・黒川 史陽内野手(智弁和歌山)など大型スラッガーが目立った世代。中島選手が多くの同世代を追い抜いてプロのレギュラーとして成長しているのは感慨深いものがあります。
中島選手の活躍は、俊足選手の価値をより高めたのではないでしょうか。
この1年だけではなく、来年以降も活躍を続けることを期待しています。