課題とマイナーで克服しようともがく佐々木(C)Getty Images 世界の“壁”にぶち当たった怪物は、どう課題を乗り…

課題とマイナーで克服しようともがく佐々木(C)Getty Images

 世界の“壁”にぶち当たった怪物は、どう課題を乗り越えるのか――。メジャーリーグ1年目にして、佐々木朗希の真価が問われている。

 昨年12月に「20球団以上」(ジョエル・ウルフ代理人談)の大争奪戦の末にドジャースとの契約を果たした佐々木。本拠地での華々しい入団会見で「いろんな意見があるのは重々承知しています。ただ、ここに来ると決めた以上、今は自分が出した結論がベストだと信じて進みたい」と意気込んでいた23歳だが、その歩みは思っていた以上にいばらの道だった。

【動画】落差1mの魔球に強打者も呆然 佐々木朗希の奪三振シーン

 今年5月中旬に「右肩のインピンジメント」が判明した佐々木は、開幕から間もなく負傷者リスト(IL)入り。約3か月に渡るリハビリ期間を費やし、現地時間8月14日にマイナーで実戦復帰を果たしたが、ここまで周囲を納得させる内容は出せていない。

 9月2日(現地時間)のアストロズ傘下3Aシュガーランド戦で4失点を喫した佐々木は、3Aでの4登板(7イニング)での成績は、防御率7.07、WHIP1.79、奪三振率5.14。さらに球速も平均94.3マイル(約151.7キロ)と低迷。入団交渉時に「日本でなぜ速球(の平均球速)が落ちたのか」と“宿題”を示していた23歳だが、自らの課題としていた真っすぐの球威改善はいまだ図れていない様子だ。

 開幕前の期待とは裏腹な現状に指揮官からは鋭い檄が飛んでいる。米メディア『Dodgers Blue』で「我々としては、彼に安定感を持たせながら成長させようとしている。だから現時点ではただ結果を出すことを求めている」と語ったデーブ・ロバーツ監督は、佐々木の今を次のように評している。

「我々の先発投手陣は好調だ。状態も悪くはない。だからこそ、(佐々木にとって)ハードルは高い。これはロウキにとっては良い学びの過程となるだろう。彼はとにかくストライクゾーンを攻め続け、ボールをコントロールし、結果を出せばいいんだ」

 あえて佐々木を刺激するように「メジャーとの差」を表現したロバーツ監督は、「球速は安定している必要があるし、ストライクを安定して投げられる必要もある。全体的にコントロールも重要になる」と悩める怪物の課題を列挙。その上で、こう続けている。

「メジャーリーグと3Aでは重視する点が全く違う。それは当然のことだ。ロウキが3Aで好成績を残し、圧倒的な投球を見せることが、我々が期待すべきことだと思っている。繰り返しになるが、今年はロウキにとって学びの年だ。

 彼は確かに才能に恵まれている。だが、投手としてより成功するにはどうすればいいのかを考える必要がある。とにかくボールを自在に操り、カウントを有利に進め、効率的に投球することだ」

 大志を抱いて海を渡った先で躓いた佐々木が、苦難の時をいかに乗り越えるのか。「学びの年」と位置付けられたルーキーイヤーをいかに締めくくるかは、メジャーで生き残るためにもターニングポイントとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【関連記事】防御率7点台の悪夢はなぜ? マイナーで苦闘する佐々木朗希の“低水準さ”を米記者が指摘「日本にいた投手とは別人の印象」

【関連記事】ドジャース外野陣の“刷新”はあるのか WS連覇の望みを絶つ「致命的な欠陥」米メディアが指摘

【関連記事】「もう2か月も平凡」世界一軍団だからこそ生じた“傲慢” 不振のドジャースを米番記者が糾弾「思っているほど強くない」