(6日、全米オープンテニス車いすの部、男子シングルス決勝) ピンチの連続を乗り越え、小田凱人(ときと)が19歳で「生涯…

 (6日、全米オープンテニス車いすの部、男子シングルス決勝)

 ピンチの連続を乗り越え、小田凱人(ときと)が19歳で「生涯ゴールデンスラム」の偉業を果たした。

 小田は第1セット第1ゲームでいきなりブレークを許した。ただ、「大きな舞台、競った方が勝負感があって僕は楽しい」という小田のこと。焦るどころか、むしろ闘志に火がついた。

 対戦相手のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)のサービスゲームでは、獲物を狙うような鋭い眼光でベースラインの前へと果敢に出た。第4ゲーム、ラリーで主導権を握ってブレークすると、圧巻は第6ゲームだった。

 0―30から攻撃的なレシーブで4連続でリターンエースを決め、再びブレークに成功した。攻めて、攻めて、流れを味方につけて第1セットを先取した。

 ただ、その勢いのままに、とはいかなかった。第2セットはサーブにうまく対応され、3―6。今大会初めてセットを落とした。

 最終セットはブレークの応酬となりタイブレークに突入した。6―9と相手に先にマッチポイントを握られた。

 それでも、小田は守りには入らなかった。

 サイドラインすれすれを狙ったショットを連続で決めるなどして追いつく。最後はリターンエースを決めて13―11で決着。両拳を握って激闘をかみしめるように涙を流した。

 コート上で行われた優勝インタビュー。小田の目に涙があふれて言葉が継げなくなる場面があった。

 昨年9月のパリ・パラリンピックで金メダルを獲得したときには「やばい。格好良すぎる俺」とインパクトのある発言をしていたあの小田が、だ。

 「インタビューでは強い自分を見せてきたけど、本当はプレッシャーもすごくて……。昨日とか全然寝られなくて」

 「あれからちょうど1年、あの試合を今日はやっと超えられたと思う」

 世界ランキング1位の座、パラリンピックの金メダル、4大大会のタイトル。いずれも10代のうちに手に入れてしまった。

 今後モチベーションを保つのは難しくないか、と問われた小田はこう答えた。

 「普通に(たくさん観客の入る)スタジアムでプレーできるようになるまで、僕の旅は終わらない」

 この日の決勝が行われたのは、センターコートではなく屋外の小さな「コート11」だった。

 「もっとでかいステージでこういう試合がしたい。たくさんの人が見てくれれば、楽しませる自信はある」(安藤仙一朗)