欧州王者のレアル・マドリードに何が起こっているのか? リーガ・エスパニョーラ第10節、レアルはクラブ史上初の1部リ…
欧州王者のレアル・マドリードに何が起こっているのか?
リーガ・エスパニョーラ第10節、レアルはクラブ史上初の1部リーグを戦う”格下”ジローナを相手に手こずり、まさかの逆転負けを喫した。これによって、3位には踏みとどまっているものの、首位のバルセロナとの勝ち点差は8まで開いている。10節終了段階ではあるが、リーグ連覇にすでに黄信号が灯ったと言っていいだろう。

初昇格のジローナに2-1で敗れたレアル・マドリード。エース、ロナウドは無得点
「もっといいプレーをしないといけないし、もっと頑張らないと。レアル・マドリードの選手はそれが義務だから」
MFカゼミーロは試合後にしかめ面でそう語った。不具合があるのはわかっている。しかし、その場所を特定できない、といったところか。
王者が1部デビューの”ルーキー”クラブに屈したことは、スペイン国内では大きなニュースとして伝えられている。相手のジローナが、独立問題で揺れているカタルーニャのチームだったことも影響しているだろう。これによりカタルーニャの盟主であるバルサとの勝ち点差が、大きく開いたことも関係あるはずだ。
スペイン国内のサッカー番組では、「不振の原因は?」というアンケートを取っていたが、監督であれ、選手であれ、ひとりに責任を背負わせるべきではないだろう。
そもそも、レアルは昨シーズンから戦力的に向上していない。試合終盤に勝負を決定づけたFWアルバロ・モラタ(チェルシー)という切り札を失った。守備の安定に一役買っていたDFぺぺ(ガラタサライ)も放出。そして、ジローナ戦はFWガレス・ベイル、DFダニエル・カルバハル、GKケイロル・ナバスという主力3人を欠いていた。攻撃陣ではエースであるFWクリスティアーノ・ロナウドのコンディションもまだまだ上がっていない。
星を落とすだけの理由はあったわけだが、それでも試合内容が悪すぎた。
心配なのは、DFの要であるセルヒオ・ラモスだろう。
昨シーズンから、セルヒオ・ラモスは守備の安定感を欠いている。肩の痛みが残っているともいわれるが、不用意な”ポカ”が増えた。ジローナ戦でも先制点の起点になったように、攻撃での貢献は相変わらず余りあるほどだが、守備では不用意なバックパスであわやというピンチを作り出すなど軽率なプレーが目立つ。また、裏を取られたときには打つ手がない。スピードのあるFWポルトゥのマークでは常に後手に回っていた。そして試合終盤にはストレスからか、相手選手を突き飛ばしている。
もうひとり、低調なプレーを見せているのが、カゼミーロだ。
DFラインの前を横切る中盤のスペースを死守する役割だが、今シーズンは、相手にそこへ簡単に入られてしまっている。ジローナ戦のスローインからの失点シーンでは、完全にスペースを渡してしまっていた。容易にボールを持っていかれ、失点につながっている。
「点の部分で、インテンシティが下がる場面がある。そこを相手につけ込まれている。しかし残念がっていても仕方ないし、我々は次のページをめくる」
セルヒオ・ラモスは強気である。
それでも、守備は再建が急務だろう。ジローナ戦は左サイドバックのマルセロも調子を崩し、右サイドバックのアクラフ・ハキミは経験不足を露呈。さらに、GKのフランシスコ・カシージャも試合勘の鈍りを感じさせた。ビルドアップに苦しみ、カウンターを発動させるどころではなかった。
守備陣が不安定なそのツケを、攻撃陣が被っている。ジローナ戦のロナウドは終始、「メッシ、メッシ、メッシ」というスタンドの大合唱にいらつき、平常心を失っていた。唯一、MFイスコだけが好調を保っている状況だ。
「サッカーはディテール。例えば、ジローナ戦の1失点目は集中力に問題があった。しかし、試合全体でのプレー強度に問題があったとは思わない。果敢に戦う姿勢を示してくれた」
ジネディーヌ・ジダン監督は敗戦後にこう語っているが、彼自身の采配もこの日は不発だった。逆転されたあと、追いつくために3バックにしたが、むしろ混乱を招いた。中盤でボールが持てず、逆に攻め手を失ってしまったのだ。
「ユベントスからレアル・マドリードに戻るべきではなかった。契約を尊重したが、失望しかなかったからね。ユーベに移籍する前と同じようにガキとして扱われた」
チェルシーに移籍したモラタが辛辣(しんらつ)に古巣を批判するなど、クラブ内外での混乱は今後も続くかもしれない。
もっとも、最悪の危機的状況にまで至っているわけではない。今も、ジダン監督の求心力は効いている。選手のポテンシャルも間違いない。国内リーグ、チャンピオンズリーグ、スペイン国王杯とすべての試合をベストな結果で乗り切るのは至難の技で、ジローナ戦もリーグ戦の負けのひとつ、と割り切るべきなのだろう。
しかし、守備にズレが生じているのは間違いない。このまま放っておくと、大きなツケを払うことになる。世界の名将の仲間入りをしたジダンの腕の見せどころだろう。
11月1日、レアル・マドリードはイングランドに乗り込み、チャンピオンズリーグ第4節でトッテナムと戦う。勝利が批判を封じ込める。しかし、ここで負けた場合は、危機的状況がリーグ戦から欧州の舞台に”引火”して、監督交代論が浮上する可能性もある。