滝汗をかきながら、マウンドで全力投球を続けた大谷(C)Getty Images「誰かがふざけているのかと思った」(米紙『…

滝汗をかきながら、マウンドで全力投球を続けた大谷(C)Getty Images
「誰かがふざけているのかと思った」(米紙『Baltimore Sun』より)
オリオールズを率いるトニー・マンソリーノ監督も思わず苦笑いを浮かべる緊急決定だった。
【動画】緊急登板の大谷翔平 オリオールズ打線相手に三振を奪うシーン
現地時間9月5日、敵地でのオリオールズ戦にドジャースの大谷翔平は「1番投手兼DH」で先発。予定を前倒ししてのスクランブル登板だったが、3回2/3を投げて無失点。被安打3、与四球1、5奪三振と好投した。
予期せぬマウンドだった。試合開始の約4時間半前に先発予定だったタイラー・グラスノーが背中の張りを訴えて登板を回避。風邪の症状のために現地時間9月3日の先発登板を回避していた大谷の当初の次回登板予定日は、8日(現地時間)のロッキーズ戦だったが、本人の意向もあって、調整ルーティーンを崩してオリオールズ戦でのマウンドに立った。
決して状態は芳しくはなかった。実際、球数も肩で息をしていた降板時には70を数えた。それでも最速101.5マイル(約163.3キロ)を記録した4シームとカーブを軸にオリオールズ打線に付け入る隙を与えずに投げ抜いた。
チームは1-2と惜敗して連敗も「4」に伸びた。そうした苦境を打破しようとした大谷の決断には、米メディアでも驚きは広まった。
全国紙『USA Today』は、「何より、彼の投げたいという意思が強かった。私はそういう姿勢を本当に尊敬する。ルーティーンが決まっている先発投手が、数日も前倒しをして方向転換を図ろうというのは、このチームに何が必要かを物語っている」と訴えたデーブ・ロバーツ監督のコメントを伝えた上で、「オオタニは前例のない負荷を支えているルーティーンワークを大事にしている。だが、必要に応じてそれを捨て、チームを助ける“準備”もできている」と自己申告による登板劇を称えた。
「投手が先発日を数日繰り上げるのは、特に十分な休養期間が確保されていた場合には、通常は勇気ある行動とは言えない。だが、今回の出来事は、ドジャースにとって最高の選手が決してワガママなスターではないことを示したと言える。緊急時にはガラスを割って、ショーを見るべきなのかもしれない」
自身の理想とする“流れ”を崩してまで、チームを支えに奔走した。その姿勢も彼のスター性を物語る一例だと言えそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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