今夏ベスト8の聖望学園と今夏ベスト16の埼玉平成との一戦。西部地区屈指の好カードは雨中の激戦となった。 聖望学園の新チー…
今夏ベスト8の聖望学園と今夏ベスト16の埼玉平成との一戦。西部地区屈指の好カードは雨中の激戦となった。
聖望学園の新チームは、スタメン全員が3年生だった今夏のメンバーからガラリと代わった。元々2年生の人数が1桁と少ないこともあり、1年生中心のチーム編成となる。一方の埼玉平成もスタメンほぼ全員が3年生だったこともあり、新チームは公式戦経験の少ないメンバーが並ぶ。
案の定、新人戦では聖望学園が武蔵越生に、埼玉平成は富士見にそれぞれ敗れた結果、地区予選は共にノーシードとなり地区初戦で対決することになった。
先発は聖望学園が1年生の長身右腕・背番号10の窪嶋颯。一方の埼玉平成は背番号3の右腕・吉田龍生（2年）が登板し試合が始まる。
先制したのは聖望学園。
序盤こそ相手バッテリーの配球に苦戦するも、4回表、3番・沼野 奏太（2年）、4番・薮内 優翔（1年）の連打で1死二、三塁とし、続く新井 桜太郎（2年）の中前適時打でまず1点、さらに2死後、7番・日比柊介（2年）も左前適時打を放ち幸先良く2点を先制する。
さらに5回表、雨足が強くなり、埼玉平成・吉田の武器である縦の変化球が抜け始め、制球を乱した所で試合は一旦中断する。「とにかく若く経験のない子達なので中断期間中に集中を切らさないように。中断後の入りが大事」と、浮中監督が選手達に意識させる。その結果、中断後より集中力が増したのは聖望学園であった。
埼玉平成が吉田からエース原田 迅（2年）へ継投に入る所で、聖望学園は3四球を選び1死満塁とすると、4番・薮内が右中間へ2点適時二塁打を放ち4対0とする。
5回にも日比の二塁打を足がかりとし相手ワイルドピッチでさらに1点を加え5点差をつけた聖望学園であったが、その裏、1つのミスをきっかけに埼玉平成の猛反撃を受ける。
1死から2番・堀場 風（2年）に中越え三塁打を浴びるも、続く原田の打球はショートゴロとなる。ショートは無理をせず一塁へ送球し流れを切りたい所であったが、ファーストがこれを捕れず1点を与え打者走者も残る。ここから四球と安打で1死満塁とされ、「窪嶋はボールが増えてきたので交代のサインかな」と、聖望学園ベンチは技巧派左腕・松尾健悟（1年）へスイッチする。松尾も代わり端、この勢いを止めきれず2死後押し出し四球を与えると、さらに8番・宮家正太郎（2年）にも右前適時打を浴び、この回3点目を失う。だが、二塁走者はライトの好返球で本塁封殺し3点で相手の反撃を止める。
嫌な流れを切りたい聖望学園はすぐに反撃開始。7回表、新井の安打などで2死一、二塁とし、日比が左中間へ2点適時三塁打を放ち、7対3とし再度突き放す。
投げては松尾が7回すぐに立ち直ると8回からはエース左腕・新井が登板する。新井も安打を浴びるも要所を抑え、埼玉平成の反撃を無失点で切り抜ける。
結局、聖望学園がそのまま埼玉平成を7対3で退け、まずは地区の初戦を突破した。
聖望学園は、旧チームと比べやや小粒で新人戦時点ではかなり苦しい状況であったが、短期間で修正してきた。「課題にしていたのは得点圏での打撃。練習試合で3試合連続完封を喰らうなど苦しんでいた時期があり打撃を強化してきた。疲れている状況で振り込ませてきてその結果が出始めたかな」と、指揮官も安堵の表情を浮かべる。
この日は二遊間も好守備を連発し、4番・薮内、エース新井という投打の柱も出てきた。「新井はストライクが取れるので。真ん中を投げる投手はまだ不安ですが、今日は投手陣が頑張ってくれた。今夏を戦って野球はやっぱり投手だなと。とにかく若いチームなので一戦一戦です」と、指揮官は謙遜するも、まずまずの状況まで持ってきた聖望学園。ただし、1年生中心の陣容は変わらないだけに勢いに乗れば一気に行くが守勢に回ると脆さも秘める。あくまで謙虚に今後も一戦一戦を貫く。
