2025年8月30日、水戸ホーリーホック対レノファ山口FCの試合がケーズデンキスタジアム水戸でおこなわれた。試合は2-…
2025年8月30日、水戸ホーリーホック対レノファ山口FCの試合がケーズデンキスタジアム水戸でおこなわれた。試合は2-2の引き分けだった。水戸のフォーメーションは「4-4-2」の中盤がボックス型になる。山口のフォーメーションは「3-4-2‐1」の3バックで1トップを敷く。
■対戦チームが「すべて同じ気持ち」でピッチに
首位の水戸に対して19位の山口は、一矢報いようと戦いを挑んできた。今の水戸にとっての状況は、対戦するチームがすべて同じ気持ちでピッチに立ってくる。水戸の攻撃に対して、なんとかして反撃しようとする。たとえ劣勢な状況であっても、あきらめずに意地を見せて立ち向かってくる。
27節のサガン鳥栖戦(2-2)もそうだし、この山口戦も試合終了間際に同点にされてしまった。戦っている選手への相手の圧力は相当に強力で、メンタル面もフィジカル面も弱ってきているのだろう。ここで相手の圧力を跳ね返すことができるのかどうかは、選手の対応力と監督やコーチの指導にかかっている。
監督やコーチが適材適所に配置をしても、選手がその期待にふさわしくないプレーをしていたら、ここまで積み上げてきたものを失ってしまうことになる。
山口戦は、そうしたボーダーラインのギリギリに水戸が置かれているのだと、あらためて思い知った試合であった。さっそく試合を振り返ってみよう。
なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=UpbCnphe3LA&t=3s
■致命的だった「水戸のセットプレー」の場面
【19分の齋藤俊輔のポスト直撃のシュート】
フォワード(以降、FW)の渡邊新太に縦パスが入る。その前に、渡邊の動き出しによって、相手の守備に迷いが生じている。渡邊は相手ディフェンダー(以下、DF)の間に入ろうする。裏に抜けられてしまうかもしれないと考えたDFは、渡邊の動きに戸惑って前にプレスに行けない。山口のDF磯谷駿が渡邊について行けずに一歩、遅れてしまう。渡邊は、裏に抜けようとして相手DFの動きを止めて、そして、後ろに下がってパスを受けて起点となった。
こうした細かい動きができるFWが実は少ないのである。斎藤はドリブルのコースを作ってもらえたので、思いっきりシュートが打てたのである。
【28分の大森渚生の先制点】
大森がゴールキーパー(以下、GK)のニック・マルスマンに向けてクロスを入れる。ボールは誰にも触られないでゴール左に吸い込まれる。おそらく、マルスマンは味方のDFがクリアするだろうと読んで動き出しが遅れてしまっている。事故のような得点とも言えるし、最後まで山本隼大が相手と競り合った結果から生まれた得点だとも言える。
【31分の水戸のセットプレー】
山口はゾーンで守っている。塚川孝輝のシュートがポストに当たって弾かれる。まず、コーナーキックの場面で、ニアサイドにいる山口の選手がボールをクリアしようとしてジャンプをしているのに、誰も触ることができなかったことが問題だ。ニアサイドでボールに触ることができないのは致命的だろう。特に、ニアサイドに意図的に人数を置いているのにである。
記事後半では、レノファ山口の同点ゴールのシーンから見ていこう。