中国5県を中心に開かれた今夏の全国高校総体(インターハイ)。島根県美郷町信喜の「カヌーパークみさと カヌーレIMAI」…

 中国5県を中心に開かれた今夏の全国高校総体(インターハイ)。島根県美郷町信喜の「カヌーパークみさと カヌーレIMAI」が会場となったカヌースプリント競技で、島根県勢が公開種目を含め2種目を制した。(石川和彦)

 8月5日、カヌーレIMAIの前を流れる江の川で行われた男子カナディアンフォア(C―4)200メートルの決勝。島根県立出雲農林高校が2位に0秒392差の40秒431でゴールし、初優勝を果たした。

 乗船していたのはカヌー部員4人。先頭から宮原悠煌(ゆうご)主将(3年)、松﨑新太(あらた)選手(同)、矢野来樹(らいき)選手(2年)、飯島颯(そう)選手(同)。宮原主将は「あせってしまうとパドルを回すのが速くなり、後ろ(のメンバー)がついてこられなくなる。冷静でいられたことが良かった」とレースを振り返り、「めっちゃうれしかった」。C―4の500メートルとの2冠を目指していたが、2日前の500メートル決勝は2位。松﨑選手は「やばいと思っていたので、ほっとした」。

 出雲農林では、前の2人がエンジン役、後ろの2人がエンジン兼かじ取り役。コースを外れると失格になるため、かじ取りも重要だ。矢野選手も飯島選手も「船が曲がらないようにこいだ」と話す。石原起人(おきと)監督(25)は「4人のうまさがあった」と、それぞれが役割を全うしたことを勝因に挙げた。

 3年生2人は大学でカヌーを続けるつもりだ。宮原主将は「23歳以下の日本代表に入り、世界と戦えるようになりたい」、松﨑選手は「2030年に島根で開かれる国民スポーツ大会の県代表に選ばれ、金メダルを取りたい」と話した。

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 島根県勢が優勝したもう一つの種目は、公開種目の女子カナディアンシングル(C―1)の500メートル。8月3日の決勝で、島根県立島根中央高校3年の植出乙倭(おとわ)選手がトップでゴールした。記録は2分24秒359。2位との差は0.1秒未満だった。「(2位の選手は)負け続けていた相手。安心したという気持ちだった」

 だが、2日後のC―1の200メートル決勝では、その相手に先にゴールされ、2位に終わった。目指していた2種目優勝はならなかったが、「100%の力は出せた。筋力が足りず、ピッチを上げられなかった。課題が見つかった」と前向きに捉えた。

 京都府城陽市出身。2学年上の兄・士虎(しとら)さんが島根中央高でカヌーに取り組む姿を見て、後を追った。「自分も何かを頑張りたいと思っていた」

 寮生活を送りながら、体作りや技術の習得に努め、その成果を発揮。今夏のインターハイ直前には、欧州で開かれたジュニア&U23世界選手権に派遣され、C―1の500メートルでB決勝に進み、4位に。自信をつけてインターハイに臨めたという。

 カヌー部の堀田育子監督(61)の指導に感謝している。「自己満足ではない、結果につながる努力の仕方を教わった」(石川和彦)