<清瀬杯 第57回 全日本大学選抜準硬式野球大会:久留米大1-2北海道大>◇1日◇準々決勝◇仙台市民球場 大学準硬式にお…

<清瀬杯 第57回 全日本大学選抜準硬式野球大会:久留米大1-2北海道大>◇1日◇準々決勝◇仙台市民球場

 大学準硬式における4大大会の1つとされる清瀬杯 第57回 全日本大学選抜準硬式野球大会(以下、清瀬杯)。2023年に優勝を飾り、2年ぶりに優勝を目指す久留米大が、北海道大の前に1対2で惜敗した。

 5回までスコアボードに0が並ぶ投手戦。むしろ久留米大先発・中居 駿斗投手(創成館出身)はランナーを背負う場面が多く、何とか凌いできた。本人も「調子が上がらなかったので、コースは間違えないようにした」と打たせて取る投球で何とか凌いだという。

 その後、6回に1点を失い、7回からは2番手以降の投手にマウンドを託し、ベンチから声援を送った。「自分のミスで失点しましたし、早めの降板だったので申し訳なかった」と悔しさをにじませる中居。

 試合後には「先輩にはすみません、と伝えました」と頭を下げたが、高校時代は長崎県屈指の強豪・創成館で3年間汗を流した。ただ厳しいベンチ入り争いを勝ち切れず、メンバー入り出来ず。最後の夏は決勝で海星の前に敗れて、甲子園にあと一歩届かなかった。

 それだけではなく、2年生に進級して間もなく、大きな壁にぶつかった。

 「1年生の時にベンチ入りはできませんでしたが、1年生大会でエースナンバーをもらうなど、上級生に混ざって徐々に試合に出ていました。なので指導者からも『自分たちのチームになったら引っ張ってほしい』と期待をしてもらっていました。でも2年生の春に思うような結果を残せず、フォームを崩してしまいました。指導者からの期待に応えようと必死になってしまい、結果イップスみたいになって調子を崩しました」

 その当時は「野球が怖い」という感覚に陥るほど。中居は3年間苦しみ、結局ベンチ入り出来たのは夏の大会直前に開催されたNHK杯のみ。最後の夏もスタンドで応援して、高校野球引退を迎えた。

 「1年生の夏、甲子園で戦う先輩の姿を画面越しに見て、甲子園を目指してきたので、スタンドにいる時も『あのマウンドで投げることを目指してきたのに』ということと、両親に申し訳ない気持ちで終わりました」

 その後、野球からは距離を置くつもりで、実家から通学できる久留米大への進学を決めた中居。野球のない生活を送るかと思われたが、両親からの勧めで準硬式の道を歩むことになった。

 「両親から勧められて体験に参加しました。そうすると、やるときはしっかりやる雰囲気が良くて、硬式と比較してもレベルが高いと思いました。それを見て、『もう一度やるなら、準硬式の方が良い』と思って入部することを決めました」

 こうして準硬式野球を始めるが、高校野球とは違って1日の練習は3時間前後。短い時間で効率的にやらないといけない。必然的に考えて練習に取り組むようになると、徐々にフォームが改善されて、全国大会の舞台で登板する投手にまで成長した。

「NHK杯のベンチ入りできっかけを掴みつつあったこともありますが、高校時代の経験を受け入れるしかなかった。そのうえで、効率的に練習することを考えるうちに、徐々に結果を残せるようになりました。だから創成館で苦しい思いをしていなければ、今の自分は絶対にありません。創成館に行って良かったと思います」

 最後の1年に向けて、「自分がエースという気持ちで、チームを勝たせられる存在になりたい」と語った中居。すると、続けてこんな言葉も残した。

 「自分みたいに苦しんだ人でも準硬式という選択肢があることを伝えたいです。硬式に比べるとマイナーかもしれないですが、プロに行く人もいるくらいレベルは高い。そのなかで活躍出来るチャンスがある。そんな野球を選べることを伝えたいです」

 高校時代に大きな壁にぶつかるも、何とか自分なりに答えを出した中居。「いまが自分の全盛期だと思っています」と少し笑みをこぼした表情は、本当に野球を楽しんでいるようだった。最後の1年は全国制覇という結果も残して、満面の笑みを見せてほしい。