<清瀬杯 第57回 全日本大学選抜準硬式野球大会:北海道大2-1久留米大>◇1日◇準々決勝◇仙台市民球場 大学準硬式にお…

<清瀬杯 第57回 全日本大学選抜準硬式野球大会:北海道大2-1久留米大>◇1日◇準々決勝◇仙台市民球場

 大学準硬式における4大大会の1つとされる清瀬杯 第57回 全日本大学選抜準硬式野球大会(以下、清瀬杯)。6年ぶりに清瀬杯に出場した北海道大がベスト4進出を決めた。

 最後のアウトを取った瞬間、マウンドにいた北海道大の先発・本田慎次朗投手(仙台二出身)は大きなガッツポーズを見せた。9回を1人で投げ切り、133球1失点完投勝利を挙げた。

 勝負どころで見せる130キロ超えのストレートなど駆使して久留米大打線を封じたが、高校時代・仙台二は「130キロが出たら絶好調だった」というほどストレートが速かったわけではない。趣味になっているウエイトトレーニングのおかげだと自己分析をする。

 そんな本田、仙台二の時は1年生の夏からベンチ入り。2年生の夏からエースナンバー争いに加わるようになると、最後の夏は背番号1をつけた。が、高校最後の試合に本田の姿はグラウンドになかった。

 「新型コロナウイルスに感染して、最後の試合はグラウンドに行けませんでした。あの時は大会直前から体調が悪い感覚があったので、練習を休んで初戦だけ少し出せてもらいました。でも体調が一向に回復しなかったので検査をしたら陽性で、試合には出られなくなりました。
 そのあと、喉がひどくなって食事、飲み物も取れないくらい辛い。寝てないとしんどい状態になってしまったのですが、とにかく申し訳なかったです。エースナンバーももらったので、『夏の大会までもっと頑張って投げたい』と考えていたし、自分が出られなくなってオーダーが組み直しになったので。本当に申し訳なかったです」

 本田は最後の試合を中継で見ていたという。仲間の姿を画面越しに見ていたが、負けた瞬間は「あぁ終わった」と思ったそうだが、「涙も流せなかった」と引退する実感が湧かなかった。

 ゆえに受験勉強に切り替えるまで2週間かかった。ただ海に関わることを学びたかったことを理由に、国立大の北海道大を第1志望に据えて勉強。夏休み期間は12時間近く勉強したおかげで現役合格したが、準硬式をやることを決めたのは入学後だ。

 「高校野球は変な形で終わったので、続けるつもりはありませんでした。でも3年生の冬に、同級生が大学準硬式をやると聞いて。そこで敵同士ですが、また野球が出来るということだったので、大学準硬式でいい形で野球人生を終えようと思って始めました」

 レベルの高さには驚かされたが、勉強やアルバイトとの両立が出来ることに「ちょうどいい環境だと思う」と本田は満足しているようだった。ただそれは「みんなが本気になって野球に取り組む。野球ならではの緊張感を持ってできる」という準硬式の良さを感じていることもあることも大きいようだ。

 最後の夏、不完全燃焼で終わった歯がゆさを清瀬杯の優勝で晴らせるか。準決勝以降も見逃せない。