【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬【クレヴァートリッ…
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【クレヴァートリック(Clever Trick)】
アメリカで走り、短距離戦を中心に29戦18勝。ただし重賞は勝っておらず、G3で2着、G1で3着という成績があります。
父アイスカペイドは、大種牡馬ノーザンダンサーと同じく「ニアークティック×ネイティヴダンサー」という組み合わせで、悲劇の名牝ラフィアンの半兄にあたる良血。クレヴァートリックのほかにワイルドアゲインの分枝が発展しています。
母カンカキーミスは、「ベタービー×ジェダー×ワイズカウンセラー」という優れた非主流血統。これがクレヴァートリックの種牡馬能力のアクセントになったと思われます。一本調子ながら優れたスピードとタフさを伝えました。
通算成績10戦9勝で種牡馬としても成功したフォーントリック、本邦輸入種牡馬ビショップボブ、米重賞を4勝したトリッキークリーク、英G3を勝ったハーディフといった重賞勝ち馬を出しました。
現役種牡馬だった当時は、いかにもアメリカ血統らしいパワー型のスピード種牡馬、という印象しかなく、個人的に何か特別なものを秘めていると感じたことはありませんでしたが、時間が経ってみると血統全体に大きな影響を与えています。トリッキークリークがイントゥミスチーフ(北米で6年連続チャンピオンサイアー)の母の父となり、孫のローミンレイチェルは年度代表馬ゼンノロブロイ、ダート王フォーエバーヤング、米3歳牡馬チャンピオンのシエラレオーネの牝祖となっています。先週土曜日の名古屋城Sを楽勝したテーオーパスワード(ケンタッキーダービー5着)や、イエスイッツトゥルー、ルッキンアットラッキー、ケイムホームといった種牡馬にも含まれています。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「超大穴でケンタッキーダービーを勝ったリッチストライクのその後は?」
20頭立ての最低人気、そして大外20番枠という圧倒的な不利をはねのけ、2022年のケンタッキーダービーを制覇しました。その後は6戦して勝ち星はなく、3歳秋のルーカスクラシックS(G2)で2着となったのが最高着順です。
2025年に種牡馬入りを果たしました。繋養先は馬産の中心地から遠く離れたペンシルベニア州のマウンテンスプリングスファーム。種付け料はわずか6500ドル(日本円で100万円弱)。
自身はスマートストライク3×2という強度のインブリードに加え、ミスタープロスペクター=サーチフォーゴールド4×3・4という全兄弟クロスを持つので、血統的にはエッジがきいています。
低評価を覆し、自身と同じようなビッグレースの勝ち馬を出すことができればドラマです。期待して待ちたいと思います。