◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 最終日(31日)◇芥屋GC(福岡)◇7293(パー72)絶対に勝ちたい試合…
◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 最終日(31日)◇芥屋GC(福岡)◇7293(パー72)
絶対に勝ちたい試合の開幕前日、小斉平優和は大型書店「TSUTAYA」で本をあさった。「見たら、いま自分がすごく欲しい言葉がある本だった」。購入したのはメンタルコントロールについての一冊。「すぐ、自分をダメだなって思うクセがあるので。切り替えられるように、ポジティブンに」。昨年のリベンジを果たすには、まず気持ちで勝たなければいけない。
練習日から、“18番”に関してはどうしてもナーバスになった。「去年、プレーオフで3発OBを打ったから。練習ラウンドのときも、18番をどうするか考えすぎていた」とキャディのトム・タナカ氏は笑って話す。香妻陣一朗と優勝を競った1年前、18番で行われたプレーオフ2ホール目で、立て続けにティショットをOBに入れて負けた。当時は右バンカーを避けるためにドローボールで攻めたが、今年はフェードで行く作戦。それでも18番に入るとソワソワする小斉平に、「普通の持ち球で、カットボールで、自分を信じて」と伝えていた。
数年前から、メンタル面が自分のなかでも課題のひとつ。20-21年シーズンに初シードを獲った翌年、すぐにシードを手放した時も「どうにもならないくらい」落ち込んだ。いくら技術面が向上しても、試合で最大限のパフォーマンスを発揮できない。プロ入り前から仲の良い平田憲聖は、「普段も、どちらかというと一歩引いてというか。みんなの話を聞いてくれる存在」と控えめで優しい性格だという。
ここ数年はメンタルトレーナーを頼ったり、今週のように自分で本を読んで勉強したり。気持ちを上向きにするために、「自分が優勝することをイメージして。みんなに喜んでもらうことをイメージすると、すごく泣けてくる」と、なんなら優勝スピーチまでイメージトレーニングはバッチリだった。「自分は大丈夫」と心に念じて迎えた大事な試合は、3日目を終えて首位と1打差につけるチャンス。「このコースで優勝するイメージが、めっちゃありました。勝ちたい」と強気に最終日を迎えられたのも、その成果かもしれない。
とはいえ、やっぱり18番に入ったときはプレッシャーが襲ってきた。そばで見ていたタナカ氏も、「打つ前、めっちゃ緊張していた」と笑う。フェアウェイから2オンを狙ったショットは「当たりが悪かった」と手前バンカーにつかまったが、4オン1パットのパーでフィニッシュ。優勝を決めた瞬間は、「全然泣かなくて、ビックリしました」とイメージトレーニングしていたような感動もなく、とにかく緊張が上回った。
しっかりリベンジを果たした4日間を、「98点」と採点する。「2点減点分は?」と記者から質問が飛ぶと、「うーん…そう聞かれると、100点かもしれないです」と照れ笑い。優勝しても、控え目な性格は変わらなさそうだ。(福岡県糸島市/谷口愛純)