井上戦では完敗を認めていたタパレス(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext かつての“刺客”は…

井上戦では完敗を認めていたタパレス(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
かつての“刺客”は、緊張感に飢えていた怪物の求めに呼応した。
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥は、来る9月14日に名古屋のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と防衛戦に挑む。
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自ら「キャリア最大の敵」と位置付けた猛者を倒すべく、かつてないほどに己を追い込む決意をした井上が「戦い方も計画的に立てなきゃいけない」と練習パートナーとして指名したのが、2年前に王座統一戦で拳を交わした元WBA&IBF同級統一王者のマーロン・タパレス(フィリピン)だった。
7月中旬から今月25日の打ち上げまで約1か月に渡ってスパーリングパートナーとなったタパレスは、23年4月にアフマダリエフにキャリア唯一の黒星をつけている経歴の持ち主。「警戒心を高めにトレーニングを積んでいきたい」と目論んだ“モンスター”にとっては、これ以上にないパートナーになったと言えよう。
もっとも、絶対王者との刺激に満ちた日々は、タパレスにとっても充実のひと時になったようである。自身のSNSにおいて33歳は、「スパーリングでイノウエからもっと学び、少しでも彼を助けるために日本に来た。皆さんが私の家族の人生を変えてくれたように」と投稿。大橋ジムでの緊張感溢れるトレーニングの様子を収めた写真も添付している。
また、フィリピン国内でもタパレスの“修行”の模様は小さくないトピックとなっている。日刊紙『Business Mirror』は「タパレスは東京でイノウエから学ぶ」と銘打った記事を掲載。「自分はこれからも努力を続け、これまで以上に強く、速く、賢くならなければなならない」とした本人のコメントを伝えた。
また、今回の決断を「向上すること求め続けている証だ」と評した同紙は、タパレスが口にした井上に対する想いも記している。
「自分が日本に行ったのは、新たな戦術やパンチの技術を学ぶだけでなく、イノウエとのスパーリングセッションからあらゆることを吸収するためだ」
こうしたコメントからも練習の充実ぶりが伺える。そんなハードワークを終え、準備も仕上げの段階に入っているであろう井上が、“名古屋決戦”でいかなるパフォーマンスを見せるかには世界的な熱視線が注がれそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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