<秋季静岡県大会 一次予選トーナメント:加藤学園5―1飛龍>◇30日◇上位校決定戦◇愛鷹広域運動公園野球場 近年、県東部…

<秋季静岡県大会 一次予選トーナメント:加藤学園5―1飛龍>◇30日◇上位校決定戦◇愛鷹広域運動公園野球場

 近年、県東部地区の強豪の一角として定着している加藤学園。新型コロナの感染拡大の影響で中止になってしまったものの2020年春の選抜代表校にも選出されている。その後、夏に行われた代替大会となった交流試合では、甲子園1勝も挙げている。

 この夏は4回戦で同地区の桐陽にわずか1点を失ったのみで敗れた。そこからのスタートとなったこの新チームである。地区予選としては富士、三島北にいずれも完封勝ちして県大会進出を果たしている。

 飛龍は、この夏は誠恵に3対2で勝利したが、富士東には敗れた。いずれも1点差の接戦だった。そして、この秋の新チームでは、最後の寮生が抜けて戦力的には低下した誠恵に大勝し、市沼津にも6対1と勝利して上位校決定戦に挑むこととなった。

 ここまで無失点と投手力が整いつつある加藤学園は、エースナンバーをつけている佐藤 透哉投手(2年)が先発。前チームで引っ張っていた山田 晃太郎投手のように150キロ近い、威力のあるボールがあるわけではないが、終始自分のペースを崩すことなく、いいリズムでストライクを先行させて打ち取っていくタイプだ。

 米山 学監督も、「コントロールのいい投手ですから、制球を乱して崩れていくということはなく、そこは安心しています。チームとしても、あまり打てるわけではありませんから、守りのチームです。そういう意味でも、きちんと打たせて取ることができるというのは安心できます」と、信頼を置いている。

 佐藤投手は、8イニングを投げて6安打されたが、いずれも単打で無失点。2回に二死から連打されたものの、それ以外は散発。三塁へ進めさせることもなく8回を投げ切った。安定感のある投手と改めて認識させられた、そんな投球だった。

 加藤学園は、チームとしては必ずしも破壊力を前面として、相手を打ち崩していくというスタイルの野球ではない。それよりも、米山監督は、「大量点を奪わなくてもいいので、大量点を取られないこと。それが守りの野球の基本です。攻撃としては、取れるところはしっかりと点を取っていくということ。ビッグイニングを作るよりも、そうやって積み重ねていくことが大事です。その積み重ねで、得点が増えていってコールドになることもあります。そういう意味では、今日はもう一つ積み重ねきれなかった」と、スコア的には快勝であっても、反省点もしっかりと挙げていた。

 スケールの大きさはないかもしれないが、きちんと勝てる試合をものにできるチームということでは、いい形で仕上がりつつある。投手陣としては佐藤投手の他には、9回に投げた宮崎 煌也投手(2年)に榊原 遼大投手(2年)、中本 大賀投手(2年)と、4人は準備しているという。いずれもコントロールは安定しているということだった。

 この夏は、3年生がわずか3人という布陣で戦わざるを得なかった飛龍。その分、新チームでは経験値のある選手が多い中で、チームが組めるという利点もあった。チームとしては、1年生が多く、この日も打線で言えば3番~7番と9番に入っていた先発の伊藤 礼投手が1年生。この日は勝ちきれなかったものの、県大会進出は果たしており、これから2週間の精進を重ねて、チームとしては伸びていくのではないかという期待感は大いに感じられた。