Jリーグ8月の2試合、FC町田ゼルビア対ガンバ大阪戦とFC東京対京都サンガF.C.戦で笛を吹いたのは、エルサルバドル人…

 Jリーグ8月の2試合、FC町田ゼルビア対ガンバ大阪戦とFC東京対京都サンガF.C.戦で笛を吹いたのは、エルサルバドル人レフェリーだった。そして、サッカージャーナリスト後藤健生が思い出したのは、彼が主審を務めた日本サッカー史に残るカタールW杯での勝利のこと。そして、改めて考えたのは「レフェリーの重要性」と「今後の取り組み」だった!

■Jリーグで多い「審判員」の国際交流

 イバン・バルトンという主審がJ1リーグで笛を吹いていました。エルサルバドル人で34歳の若手審判員です。

 そのバルトン主審が担当した試合を、先週2試合見る機会がありました。

 8月20日の第30節前倒し分のFC町田ゼルビアガンバ大阪戦と同24日の第27節のFC東京京都サンガF.C.戦でした。

 2021年の東京オリンピックや2022年のカタール・ワールドカップでも主審を担当した国際経験も豊かな審判だけに、きびきびした動きや分かりやすいジェスチャーなど、「さすがだ」と思いました。

 たとえば、「激しいフィジカル的な接触があったけれども反則を取らない」といった場面では、必ず「ちゃんと見ていたが、ファウルではなかった」ということをジェスチャーを使って発信していたのです。スタンドから見ていてもレフェリーの意図が分かりますし、選手たちにも分かりやすかったのではないでしょうか?

 Jリーグでは審判員の国際交流も多く、外国人審判がさばいている試合を見る機会は何度もあります。

 しかし、エルサルバドル人審判というのは珍しく、日本人はもちろんヨーロッパ人審判とも違う雰囲気を漂わせていました。

■「時間の浪費」や「異議」で無用なカード

 バルトン主審の特徴の一つは「時間の浪費」にとても厳しかったことです。

 GKがゴールキックに時間をかけすぎたりすると、すぐに注意していました。FC東京戦のハーフタイム。京都の選手たちがピッチに戻ってくるのが遅かったときには、相当怒っており、選手が11人そろうと、キックオフ直前に円陣を作ることも認めず、すぐに後半開始のキックオフをさせていました(チョウ・キジェ監督によれば、ロッカールームのブザーが鳴らなかったそうです)。

 また、町田が例によってロングスローを行うために左WBの林幸多郎が逆サイドまで走ってきて、それから時間をかけてタオルでボールを吹いていると何度も「早くしろ」と指示していました。

 もう一つは、選手の異議や抗議にはかなり神経質のようで、FC東京の長友佑都は「異議」でイエローカードを1枚もらってしまいました。

 バルトン主審の個性なのか、エルサルバドル(あるいは中米)の審判の傾向なのかは分かりませんが、そんなところを見ているのも面白いですし、選手たちは外国人審判の場合、審判の癖を意識してプレーしないと、「遅延行為」や「異議」で無用なカードを提示されてしまうかもしれません。

■残したくない「日本人の遅延行為」の記憶

 バルトン主審の話が長くなりますが、この方はカタール・ワールドカップの日本対ドイツ戦を担当したということです。

 申し訳ない。僕は、あの試合の主審の名前を失念しており、今回、彼が来日することが決まって初めて彼の名を認識したのですが、いわば日本サッカーにとっては恩がある審判ということになります。

 今回の来日で日本に対して良い印象を持って帰っていただけるといいと思います。また、次のワールドカップでもお世話になるかもしれないからです。

 そういう意味では、各国の審判をお招きするのは悪いことではないかもしれません。どこかの国に滞在した経験があると、よほど悪い出来事がない限り、その滞在した国に対して親しみの感情を抱くことになるはずですから(バルトン主審には「日本人は遅延行為をする」という記憶だけは残さないでほしいと思います)。

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