シュワーバーとのMVP争いの行方が注目される大谷(C)Getty Images メジャーリーグのレギュラーシーズンもいよ…

シュワーバーとのMVP争いの行方が注目される大谷(C)Getty Images

 メジャーリーグのレギュラーシーズンもいよいよ佳境を迎えている。春先から激闘続きだった各地区の優勝争い、ひいてはポストシーズン進出争いに拍車がかかる中、個人タイトルの行方も小さくない注目を集めている。

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 おそらく巷で最大級の話題となっているのは、ナショナル・リーグのMVPを巡る争いの行方だろう。目下、有力候補として米メディアなどでも挙げられているのは、前年度の受賞者でもある大谷翔平(ドジャース)と、現地時間8月30日時点で打撃二冠王に君臨するカイル・シュワーバー(フィリーズ)だ。

 打者専任の「DH」を主戦場とする二人は、共に圧倒的な打力が目立っている。

 まず、シュワーバーは、現地時間8月28日のブレーブス戦でMLB史上21人目の1試合4本塁打を放つなど、キャリアハイとなる49本塁打をマーク。さらに119打点、OPS.948、長打率.580など図抜けたパワーヒッターぶりを発揮している。

 かたや大谷は、打っては45本塁打、85打点、OPS.990、長打率.603を記録。加えて、今シーズンは投手としても実戦復帰。リハビリの都合によっていまだ投球制限下に置かれているものの、11先発を消化。防御率こそ4.18ながら、奪三振率は12.25と圧巻のアベレージを維持している。

 ナ・リーグ東地区首位をひた走ってきたフィリーズをけん引するシュワーバーの打力が評価を高め、MVPに推挙する声も相次いでいる。そうした中で投打で違いを生む「二刀流」を、正当に評価すべきという意見を提唱するレジェンドもいる。現役時代にMLBで通算213勝と154セーブを挙げた大投手のジョン・スモルツ氏だ。

 現地時間8月29日に米野球専門YouTubeチャンネル『Flippin’ Bats』に出演したスモルツ氏は、番組ホストを務める野球アナリストのベン・バーランダー氏から「ショウヘイ・オオタニの3年連続MVPを脅かす選手はいると考える?」と問われ、「いや、いないね」とキッパリ。「シュワーバーも候補に入るだろうけど、相手は野球史上で最大級のユニコーンだ」と強調して持論を続けた。

「オオタニは昨シーズンに投げなくても『最高の選手』だと証明された。そこに今年は投手としての能力が加わる。そうなると、もう……ね。正直な想いを言えば、他の選手と比較するのが失礼なぐらいに圧倒的で、彼の凄さが際立っていると思う」

 さらに「彼だけ別枠として扱わないといけない」と大谷の際立った異能ぶりを主張したスモルツ氏は、こうも論じている。

「よく彼に関しては『こんな選手は見たことがない』と言われている。そんな選手が結果としてMVPを逃すことがあっていいのかとも思う。仮に彼のバッティングが大きく落ち込んで、例えば20勝5敗だけど、打率.220、20本塁打とかになったら、トータルで評価してMVPにはなれないかもしれない。

 その場合は彼がサイ・ヤング賞になると思う。ただ、現時点で彼はMVP+サイ・ヤングを手にする可能性だってある。そうなったら、もはや別世界の存在になるよ。だから、個人的には今年も“規格外のアスリート”が獲得するべきだと考えているよ」

 シュワーバーの受賞に対する期待が高まる中で、大谷の“4度目の戴冠”を力説したスモルツ氏。その確信めいた言葉は、偉才の凄みを如実に物語るようでもあった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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